おれは泣かない。

 『もしも地球が100人の村だったら』

 違ったっけか?
 まま、そんな番組がさっき終わった。
 そして今は『 GIROPPON 』に包まれてる。

 たくさんの子供たちが出てた。
 歩く力を “ ポリオ ” という病気に奪われてしまった少年。
 内戦でゲリラによって両親を殺され、しゃべることができなくなってしまった兄弟。そして4年ぶりにしゃべった言葉、それは “ die ” というかすれた単語。

 世界の主役は子供たちだ。

 そんな語り口で映像が流される。
 そんな子供たちが口をそろえて訴えるのは決まった単語だった。

 ──── お金がないから。

 違う。
 俺様は感じた。
 そして、自分とはまるで環境や境遇の違う人たちをまのあたりにしても、俺様は、もう泣かない。
 決めた。

 いつも子供たちの背景には、 “ 大人 ” っつーのがちらついてる。
 そしてそれは、暗く黒い影として描かれる。

 お金がない。
 そう、それは子供だけじゃない。大人も同じ。

 これからの世界の主役は、たしかに子供たちかもしれない。
 でも、今ある世界の主役は、そんな子供たちも含めたすべての人たち。
 子供だから、余計にかわいそうだとか感じてしまうっていうだけの話だ。
 こんな小さな子供のうちから働かないといけない。食べるだけで精一杯。学校にも行けない。
 そんな子供たちの頭にあるのは、お母さんを助けたいとか、お父さんに楽をさせてあげたいとか、日本じゃそんなドラマのなかでしか聞けないような言葉を、なにも押しつけのない表情で話す子供が、かわいそうなのと同時に、愛しいと感じてしまうだけだろうな。
 そして、心のどこかで、自分もそんなふうに思われたいとかいう期待と羨望。

 逆に言えば、そんな子供たちを抱える大人たちは、もっとつらい思いをしてるんじゃないか?
 なぜ子供だけにスポットがあてられる?
 むしろ、その家族だろ?

 まず、俺様はこういうふうに構成された番組が嫌いだ。
 世界は、 “ もしも ” で成り立ってんじゃない。
 なにより世界は、100人の村じゃねぇし。

 ただ、今自分のある環境と思わず比較してしまうようなそういう構成で、より大きなインパクトと、より深い悲しみと不甲斐なさをあおってもらわないと、いまいちピンとこない俺様は、大変わかりやすくてありがたい。
 事実だけをボーンと突きつけられても、数字は桁が多すぎるし、なにより感じる印象が、ただ “ かわいそう ” だとか “ 戦争はダメだ ” とかしか受けられないだろうと思う。
 そして、かわいそうな事実しか流さないから。

 だからそういう子供や大人、すべての人たちの環境だけを見てかわいそうだと涙を流しても、なにも変えてあげられない。
 俺様がその映像や事実からなにかを学んだとしても、それによってなにかを変えてあげられるわけでもない。

 現実を知っただけじゃ意味がない。
 信じることや夢、生きていく力という小さいけれど強い力に感動や感銘を受けて涙を流しても、なんかそれによって自分がほんの少し優しい気持ちになれたり、人を思いやれるような気がして、それから寝て明日起きたらなにかが変わってるかもしれないとかいう勘違いをしてしまうだけになってしまう。
 ひょっとすると、なんとなくちょっと頭がよくなったとか自分は恵まれてるとか再認識するだけにとどまってしまうかもしれない。

 “ 世界にはこんなにもかわいそうな人たちが大勢いるんだよ ” って、自分の人に話すだけじゃ、なんの意味もないんだよ。
 それはなんも偉くない。

 おれはそんな人間になりたいんじゃないし、そんなことするために生まれてきたんじゃないと思う。
 親もきっと、そう俺様と同じ気持ちなんじゃないかな。

 たしかに “ 立派な人になってほしい ” とかあるだろうさ。
 でも、人の上に立つ人とか大金持ちとか偉い人とかいう意味は、きっとほんの少しだけだと思う。
 俺様はそう信じたい。
 人の上に立つんじゃなくて、人が立てるだけのしっかりした地面を築ける人。

 今、世界中が “ 不況だ、不況だ ” っつって騒いでるけど、世界中には、常にそれ以下の状況下で生活してる人たちがいるってこと。
 比較すること自体がおかしいとか言うのなら、そうしたらいい。
 でも、その “ 不況 ” だのなんだのほざくのだって、結局は比較で導きだしてる状況でしかないわけで、それはむしろ、ものっすごい個人レベルでの話だったりするじゃない。

 ドカーンと一発、今の日本に言いたいことがあるとするなら、変な予算で北朝鮮拉致の問題とかアメリカの軍事基地だの景気対策だのに使うのなら、国民に配るお金全部、そういった国に送ったらいいんだよ。
 埋蔵金だのなんだの、欲しいだけのお金がどこからともなく湧いてくるなら、もっと意味のあることに使ったらいいんだよ。
 きっと日本っていう国は、ほかの国の汚れた水を、きれいで美味しいお茶に変えることができる国なんだと思うよ。
 俺様は。

 世の中やっぱり、お金の上に成り立ってんだなぁ~と感じてしまう今日このごろ。
 お金にしか興味がない人がいて、お金を稼ぐことが偉いことだと信じて疑わない人もいて。
 だから俺様もお金を稼がないといけないんだよな。
 じゃなきゃ、ただこういうことを訴えるだけじゃ、なにも変えられない。俺様も変われない。
 まずは自分の生活をしっかりしなきゃならない。
 もしかしたら、俺様からの援助に頼らないと生活していけないっていう人もいるかもしれない。

 自分は今、なにをしたらいいかわからないとか、自分はなんのために生きてるのかわからないとか、なんのために、だれのために働いてるんだろうっていう人がいるなら、俺様は『 プラン・ジャパン 』に参加してみたらいいと思ふ。
 知ってるとかわかってるだけじゃ、なんの意味もないんだよ。

 おれ、やっとわかったよ。
 自分がやりたいことだけやってきたような今までの人生だったくせに、いっつもなんか不満というか満たされない感じがあったんだな。なんかこう、もやもやしてるっつーか、なにをどんだけやったとしても、自分が笑えるようにはなれなかった。
 でもそれって、結局そこに尽きてたからだったんだよ。
 なんの人の役に立ってなかったんだ。本当に自分がやりたいことだけやって、自分っていう枠のなかにすべてをおさめてたような気がするの。
 そう、それは自分自身がだれより臆病だったから。
 なにかを始めて、それをやって、だれかに迷惑をかけたり、なにか文句を言われるのが怖かったから。面倒くさいっていうのもあったと思う。
 これやったらおもしろそうだなとか、楽しいだろうなぁ~とかいうのはたくさんあって、だれかにそれを話したりもした。
 でも、そこから先に進まない …… いや、進めなかった。
 そこから先 ──── 自分っていう枠から外に出ていけなかった。
 人のためのなにかをしたい。だれかの力になりたい。
 口では素直に言葉にできなくたって、結果的には、その人のためになるようなことでもいい。

 昔、まだ俺様が実家にいたころ、姉ちゃんの車を使わせてもらっていた。
 そしてある真冬の猛吹雪の真夜中、当時付き合っていた恋人の家からの帰り道、たまたま歩道に一人で風と雪にボッコボコにされながら歩いてる女の人を見かけた。
 だから俺様は車を寄せた。窓を開ける。ものっすごい雪と風が吹き込んできた。
「今帰り? だいじょぶ? もしよかったら家まで送ってくけど?」
 どういう教育を受けてきたのか、ただ単に予想どおり大変すぎる帰り道だったのか、女の人は雪をほろいながら “ ホントにいいんですか? ” といって俺様の運転する車に乗り込んだ。
「いいよいいよ。寒いからそのまんま乗んなって」
 まあ、ホントにそんだけひどい猛吹雪だったわけだよ。
 もし俺様も車じゃなかったら、絶対どっかそのへんで近い友達んちにでも泊まってるか、だれかに迎えに来てもらってただろうに。
 んで、そのまま吹雪のすごさを話題にしながら、その女の人の家の近くまで送り届けた。
 降り際、女の人がなんだかんだで言ってくれたの。

「それじゃ、ありがとうございました」

 とまあ、俺様はそんなような人生を歩んでいきたいのだよ。
 実際そういうことは何度かあったけど、たいがいの場合、女の人は、当然止まらない。顔すら向けようとしない。
 そりゃそうだわな。そういう人をターゲットにしたような完全なる変態だ。
 でも歩いて帰ってるってことは、歩いて帰れる距離に家があるってことになるわけだよ。そう遠くないはずだ。もし遠いなら、だれかに迎えに来てもらうか、タクシーにでも乗って帰ってるだろうし、すべてが無理なら近くのだれかの家に泊まればすむ。
「別にこれ、ナンパでもなんでもないし、ホントに乗んない? ホントだいじょぶ?」
 あのときの俺様はどんな表情をして、その女の人にはどう映っていたのか。
 女の人がこっちを向いた。
「はい、本当にだいじょうぶですから」
「あそう。それじゃあ、ホント気をつけてね」
 俺様は走り去った。

 ああ、そうだよ。
 人間だれしも孤独かもしれねぇよ。
 売れまくりの歌の歌詞だって、たいがい要約すりゃあさ? そんなような内容になっちゃうじゃん。
 でもそうじゃねぇんだよ。
 自分のためだけの人生なんていらねぇんだよ。味気ねぇんだよ。

 だから俺様は、もう泣かない。
 俺様が涙を流すのは、そういう状況を脱したときに、ともに嬉しさを感じたときにしようと思う。

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