“次”に備えて、ちょっと早めに眠ろうとベッドにもぐる。
しばらく経って、なにやら階下からやけにコソコソとした物音が聞こえてきた。
気になった。かなり気になった。
<いやいや、きっとウメちゃんだろう。ちょっと早めのご帰宅だ>
玄関のドアが開いた音を聞いた憶えもなかった。居間のテレビの声もない。階段をあがってくる気配もない。
カチン……チャリン……フアサァ~……
やはり、なにかが、おかしかった。
<ん?? もしここで俺様がとっ捕まえたらヒーローか??>
すぐに思いなおした。
<死ぬにはまだまだ早すぎるだろう>
が、ベッドから抜けた。
足音を忍ばせて部屋を横切り、まずは少しドアを開けた。
無音だった。
自室の敷居をまたぎ、爪先立ちで階段を下りた。
居間から漏れる明かりが階段にまで伸びていた。
階段を下りきる手前の手すりから、顔の半分もださないまま息ひそめて中を覗いた。
「……お疲れ」
「おう」
「泥棒と間違えた」
「泥棒ならおれが捕まえる……」
ウメちゃんの勇敢な言葉を聞きながら、俺様は静かに下りてきた階段をのぼっていった。
- April 18, 2005 8:52 AM
- [ ゲロ古 ]