さぁ~て、今日も張り切って体育館だぁ~!!
……と胸踊り心躍らせながらら外に出てみると、あるはずの自転車が消えてました。
人間、予想外、いやいや、予想だにしなかった事態に遭遇すると、どうもやっぱり一瞬呼吸が止まるらしい。
一発思いっきり鼓動がデッカく弾んで、刻が止まった。
一瞬だけ記憶が蘇るのか、さもそこに自転車が今までどおり存在してるかのような幻影さえ見える。
で、こればっかりはわかっちゃいるけど、家のまわりをそれとなくチョロチョロして探してみたりする。
ないってわかってんだけどさぁ~、こればっかりはどうしょもない……
やっぱりない。
でもまず一番に感じたのは、“バスケできねぇ~!?”だった。
それ以前に、本来ならバイトまでの移動手段とかを考えるべきだった。
10分と30分じゃ、ものすごい差だし。
気分的にも違う。
自転車に乗ってルンルンで歌えば、バイトだってちょっとは楽しいかもしれまいと……やっぱ思わない。
でも歩いて行くとなると、行く気さえ失う。
さてと。
なきゃ困る。
すぐに行動に移し、そのまま歩きだした。
しばし離れた≪SEIYU≫へGOだ。
途中でやっぱり誰かに言いたい衝動に負け、ウメちゃんに報告メール。
“電動がいいな”とか言いやがったので、“自動に乗ってな”と返信。
返答なし。
やっぱ歩いてくのは遠いので、タクシーに乗る。
……雨だった。
ツイてない日は、ホントにとことんとんとんツイてないらしい。
どんどん雨は強くなっていった。
で、≪SEIYU≫ドンだ。
……いいのなし。
体育館にはどっちみち行く気でいたため、またタクシーに揺られながらそっち方面へ繰り出した。
いつも自転車でその前を通過するたびに、1回は入ってみたいと熱望してた自転車屋さんにふらりと突撃。
「おじさん、今日買ったらすぐできる??」
「ああ、あればね。すぐ渡せるよ?」
「そう」
<いいねぇ~>
しなやかかつ優美であり、市街地のなかの森林を駆け抜けるような気分のよさを味わいながら店内をめぐった。
……高っ!!
<これ!!>
そう思ったやつは、どれも5万円から8万円を行ったり来たりで、さらには10万円を超える自転車まで見つけた。
<アホか!!>
いやいや、そんな開いた口もふさがらないってほど目新しいもんじゃないけど、いざ欲しいってときにそれを目の当たりにすると、さすがに引く。
今風の言葉を使えば“どん引き”ってやつか??
……おじさんがあっちを向いて背中を見せてるあいだに、そそくさと店を出る。
雨に打たれる。
雨に歌えば、ちょっとだけその冷たさも心地よかった。
しっかし、歩くってのがこんなにも苦痛を伴うなんて、ひさびさの感覚だった。
ちょうど小腹もすいてたし、通り道だった≪BIG HOUSE≫のマクドナルドゥでベーコンレタス・バーガーとマックチキンなんとかっていうのを購入。傘も購入。
これでもう特にこれといった心配はなくなってしまった。
ハンバーガーも食べ終えたころ、≪XEBIO≫に寄る。いや、入る予定だったんで、ちょっと強引に食べ尽くした感は否めない。
さすがにスポーツのお店だけあって、いろんなスポーツ用品がある。服もある。
少し曲がりくねったように設えてある階段をのぼり、2階へ。
ちょっとバスケ用品に浮気をする。
ボールが欲しい。バッシュが欲しい。ハーフパンツとかトレーニングシャツもゲームシャツも欲しい。
チャリだ。
傘を床にひきずりながら行った。かるく“ガー”っと音が出てた。
フロアの中央にちょっと広くなったスペースに自転車が並んでいた。
見渡すと、すぐにレジのお姉さんのもとへと歩み寄っっていった。
「あのぉ~、普通の自転車ってありますか??」
「あ、少々お待ちください」
「はい」
お姉さん、ちょっと離れたお姉さんのところへ駆け足。身振り手振りも交えて話したあと、戻ってきた。
「あの、すみません。ただいま普通の自転車は置いてないんですよぉ~」
「そうですか」
どうやら僕が見たとおりの印象らしく、“普通の自転車”で通じたらしい。
「どうもです」
この日はもうあきらめて体育館へ。
エンジン全開だ。
ストレッチなしでいきなりバスケに勤しんだ。
傘をバッグのショルダーベルトにひっかけたり、また地面にひきずったりしながら歩いて帰ってくる途中の夜空は、なんだか切なくも優しい、そして懐かしいにおいがしていた。
- June 3, 2005 5:01 PM
- [ ゲロ古 ]