髪を切る。
そして、人生2度目の毛染めを施した。
"Hair Die", No!! "Hair Dye"!!
いやいや、最初に美容師さんに聞いたときは、本気でそう思った。
って、それもまた然りのような気もしたので良しとした。
土曜日ってことで、かなり混んでた。
待ってるあいだ、店長さんが僕の脳天の分け目をさらに分けて訊いた。
「染めるの?」
「ええ。人生2度目です」
「ふぅ~ん」
と“ロンドンのご飯は食えたもんじゃない”と言っていた店長さんは、隣に座っていたお客さんの毛染めを始めた。
「わたし、どうしたらいいかなぁ~と思って……」
僕が座ってる隣の棚からデカい毛染めの標本を抜き取り、隣にしゃがんだ僕の専属ヘアースタイリスト兼なんとなくいろんなスタイリストの真理ちゃん。
「……昨日ずっと考えてたんですけど」
「ほほう。それはどういったものですの??」
「ここ白髪多いじゃないですかぁ~。でもこのへんって全然ないですよね?」
「む」
「だから、こっちには白髪染めないやつを使って、こっちには白髪染めるやつをつけたらいいかなぁ~と」
「なぬ?? それってツートンカラーにするってことですよね??」
「まあ、そうですね」
「とれてきたとき、天使の輪みたいのできません?? だいじょうぶなんですの??」
「う~ん……絶対できないっていう保証はできないですねぇ~」
「却下」
「じゃあ、どうします? けっこう明るくします? アッシュアッシュしてたほうがいいですか?」
「……“アッシュアッシュする”って、どういうことですか??」
僕から本を奪う真理ちゃん。ちょっと笑った。そんなところが魅力でもある。
「アッシュって、こういうふうに青なんですよ。これとこれだけ混ぜるとか、こういうことです」
「へぇ~、青なんだ……ビビッた。じゃ、それで」
ちょっと真理ちゃんの表情に変化があった。
すぐに思ったことを訊いてみる。
「それって、白髪もちゃんと染まるんです??」
「いや、白髪のところだけ明るくなって浮きますね」
「じゃあ、それはなしで」
「じゃあ、どれぐらいな感じにします?」
「……前回のより気持ちアッシュでお願いします」
「2対1プラス気持ちで」
「いや、5:2で」
吹きだして“鼻水でそうになった”と鼻水すすってた。
「あ、そうだ!! わかった!!」
「ん?? どうしたんだい、お嬢さん??」
「前回のこれ2対1に、プラスこれ1足せばいいんじゃないですか? これよくない?」
「おぉ~、それよくない?? ……じゃ、それで」
「はぁ~い」
ってなわけで、前回切ったよりも気持ち短めで、前回の毛染めより“2:1:1の5:2アッシュ”でお願いした。
「あのさ??」
「ん?」
「毛染めのときってさ、ああやってヘラでベッタリ塗っちゃってだいじょぶなの??」
「なにが? 地肌に悪いってことですか?」
「そそ」
「だいじょうぶですよ。そのためのハーブじゃないですか。だから泡つけながらやるからだいじょぶですよ」
「よろしく」
どんどん毛染めが施されていく。
その過程は、明らかに僕の外見が変わるたびにケータイの写メールで逐一撮影させてもらった。
前回もそう。
でも前回は、お客さんもいない平日だったため、真理ちゃんや、もう1人のヨッシーも一緒に撮影。撮ってもらうこともできた。
ちょいと公開してみようか……
……思いっきし生き恥さらしてるような感じだけども、これぐらいやってみようかということで。決して悪気があるわけじゃありませんので。
前回のは、そのうち公開。
で、完成。
真理ちゃん、ヨッシー、今日はホントにホントにありがとう。
大いに感動させていただきました。
お二人は明日も朝っぱらから仕事だってのに……
カラオケにも行く。
“やっぱり定期的に来ないとダメらしい”とのこと。“原点に返る”んだそうだ。
やっぱ歌ってホントにいいもんですね。
ストレス解消、健康維持。
メンタルでもヘルシーでも、歌が一番な気がしてならない今日もこのごろ。
あ、あとそういえば、この日はウメちゃんの車の修理っぽいのを手伝った。
“パテとやすりと肩の筋肉”の巻。
いやはや、まったくもってキリがない。そして終わらない。
見てるだけでもそう感じたのに、実際自分でやってみると、さらにひどかった。
ただ腕を上下させるだけの気も遠くなるような機械作業。
機械作業、大嫌い。
車もたいして好きじゃない。
でもやってみると、これがまた不思議と楽しくなるらしい。
車体の面に沿って塗ったパテにやすりをかける。
境界線がなくなるまで、なめらかにしなやかに腕を上下させる。
このとき円を描いてはいけないらしい。
「これムリじゃね??」
「どれ?」
「これ」
「あぁ~……それはもっかい塗らないとダメっぽいね」
「あらそう」
作業再開……ん??
「……今、また塗るって言った??」
僕の言いたいことを瞬時に察したらしく、100万ボルトの笑顔を浮かべやがる。
「だったらもうやめて、もっかい塗ってからやったほうがいくね??」
「いや、それがそうでもないんだなぁ~」
「マジで??」
「その繰り返しだ」
「……もうやだ」
水の入ったバケツの縁に持っていたやすりを静かに置く。
「タッチ」
作業も僕らもその繰り返しだった。
- June 18, 2005 7:05 AM
- [ ゲロ古 ]
サインインなんて面倒なことはせず、このままコメントされたし。