- lentinus edodes -

 本日≪らっきょ大サーカス≫という名のスープカリーのお店で、それを食してきた。人生3度目。
 そこは先の25日に新規オープンしたばかりのお店なのだ。
 本当は、昨日の帰り道に気づき、その場ですぐに入ろうと思ったんだけど、さすがに初日ということでメッチャ混んでたために、辞退。
「テッシュぅ!!」
 そう小さく叫んでふたたび自転車をこぎだした。

 実は昨日、日記にも“シーチキン買ってくんの忘れた!!”とあるように、買出しに行ってきた。
 その帰り道の出来事だ。
 “TOPVALU”はホントに安い。
 ってことで、ちょいと離れた≪FOODCENTER≫までひとっ走り。100円ショップのそれより安い。
 ちょっと探せば、100円ショップより安いものはたくさんある。
 前回行ったときは88円だったけど、今回は99円だった。
 それでも1円安いため、スパゲッティーのソースを3種類、計16袋を購入。
 地球に優しくなりたいと思い、もうそれなりに前から“ノー・レジ袋”を実践してる。買出しにはバスケに行くとき使ってるスポーツバッグで。
 それに全部入れる。
 ……クソ重い。ガッデム重い。超ヘビー級。
 店の外に出てから僕は2度も毒づいた……F○ck!! Fu○k!!
 しかしまあ、荒れてみたところで重さは変わらないから、自転車に乗りこむ。自転車だし、車みたいにカッコイイもんじゃない。
 ただまたぐだけなもんさ。
「……ぅ……ゴハァ~」
 毒物を飲まされたあとアホになった悟飯みたいな声が出た。きっとウメちゃんならわかってくれるだろう“ゴハァ~”のあえぎ声。
 肩にかけるバンドが首にひっかかって、危うく僕の人生をクビになりそうになった。
 自転車なんだからもうちょっと考えたほうがいいとは思うんだけども、安いし遠いからしょうがない。


「あんだこらぁ~」
 あまりに重い。
「アっホか、てめぇ~」
 ってなわけで、自転車のサドルを半分ずっこでバッグと座ってみた。
 それでも改善されないので、5分の3をバッグに譲ってみた。
 改善だ。
 半分立ちこぎという、なんとも不自然かつ酷な体勢で長いこと自転車をこぎつづけた。
 途中、手で持つためにつけられたと思われる短いほうのバンドを肩にかけてみたり、膝の上に乗せてみたりした。
 でもやっぱり、5分の3半勃ち……いや、半立ち乗りが一番負担もかるいということで、次の目的地へ。
 僕に設えられた扉のロックが引き裂かれそうになるのを毒づくことを代償に我慢しながら。


 ≪TSUTAYA≫に到着。
 バッグはさすがにもう腕で抱えた。
 本来の目的だった一世風靡セピアの“ゴールデンベスト”は、ちょうど1枚しかないそれなのにレンタル中の札がゴムバンドで止められていた。
 残念。断念。
 ってなわけで、高橋みゆきさんが好きなアーティストっていうところに書いてあった“Sean Paul”っていう人のアルバムを借りてみた。
 Avril Lavigneの『Under My Skin』も借りてみた。『Let Go』から好きになったようです。
 あとは、Skoop On Somebodyとなんとかっていう人たちのコラボレーションで出た曲。
 そしてついに細川たかしさんの『全曲集』もレンタル!!
 どうしても『北酒場』が聴きたかった……これで聴ける。
 演歌は大嫌いなんだけども、食わず嫌いはよくないと思うわけ。そういうのも聴いていって、ちゃんと自分の音楽のスタイルみたいなものを築きあげていきたいのだな。
 って言ってはみるものの、ただ単に『北酒場』が聴きたかっただけの話。
 それから隣の≪東急ストア≫で、またあとほかに必要な食料品をカゴに入れる。
 佐藤だか山崎だか、岩下だか盛山だか山下だかどこだかのピリ辛らっきょうと水戸のしそのり入り納豆、柚子果汁入りもずく、牛乳の“アカディ”、“明治LOVE”、鶏のササミ、森永のミルクココア、LIBENDERのバニラ、あとなんか買った。
 ここまで具体的に書いておきながら、最後“あとなんか”で締めるのはどうかと思うが、悪しからず。
 まあ、いつもどおり。


<ん??>
 新規オープン??
 スープカリー??
 ほほう……こんなところにスープカリーのお店ができたか。
<なに?? ≪らっきょ大サーカス≫??>
 素晴らしい!!
 よし……
「うわっ、メッチャ混んでるやん。まあ、初日だし、さすがに混むわな」
 店の入口、一般家庭で言えば玄関フードみたいなところで一見若そうな感じのカップルが店員さんと話していた。
<明日来よ>
「テッシュぅ!!」


 無事、帰宅。
 ……ホント、お疲れ、おれ。
 長旅だったけど、疲れよりも痛かった。
 買ってきたものを冷蔵庫にしまい、早速2階の自室にあがって『全曲集』をご清聴。
 ときどき大爆笑。『北酒場』は3回リピートして熱唱してしまった。


 ……って、んなこたぁ~、どうでもいいのさ。危うく昨日の話にメインを乗っ取られるところだった。
 このたび新規オープンした≪らっきょ大サーカス≫の話だ、今日は……。
 うん、うまかった。


 店員さんが来てくれるもんだと思って、入口のところで待っていた。
 まあ、それも初めて入ったお店では、必ずやるクセみたいなもんだ。
 1歩入った瞬間に、お店のなか全体に視線を走らせる。それはかわいい店員さんを探すためでしかない。
 お客さんしか見えなかった。
 誰も来てくれないから、ちょっと進んでみた。
「いらっしゃいませぇ~、お一人様ですか??」
「はい」
「こちらへどうぞぉ~」
<よし!!>
 ちょうどレジのところの衝立の向こうにいた店員さんが気づいてくれたらしい。しばし見つめ合ってしまったようだ。
 かわいかった。美容師の真理ちゃんに似てる。
 そこで“真理ちゃんに”っていう表現をするあたり、心のなかでは真理ちゃんのほうが可愛いという結論が出てる証拠だな。
 まあ、そんなかわいい店員さんからカウンターの真正面を示されたわけだ。
「はい」
 なんか話しかけよう、なんか話しかけようと思いつつ、ウォ~クメンのイヤホンをはずして真正面に座った。
「いらっしゃいませ。ご注文決まりましたらお声かけてくださいね」
「はい、どうも」
 なにも話しかけられなかった。
 新規オープンてなこともあってか、椅子から壁から天井から、いたるところで黄色い風船が吹いてもいない風に揺れていた。


「ご注文お決まりでした?」
 決まってない。
「あ、はい」
 お声もかけてない。
「じゃあ、これ」
「はい、チキンスープカリーですね?」
「はい。あと、トッピングにブロッコリーもお願いします」
「はい、かしこまりました。では、辛さはどういたしましょう?」
「じゃあ、“1”で」
「はい。では、ライスは」
「え~……え? ライスですか?」
「ええ、こちらに。大盛りにできますが」
「……じゃあ大盛りで」
「はい、かしこまりました。では、できあがるまでお待ちくださいませ」
「はい」
 店員さんが消えていき、奥のキッチンで僕の注文を伝えてた。
 また気のきいたことの1つも言えなかった……まったくもってスキがなかった。
 完全に店員さんなのだ。


 しばらくのあいだ店内を眺めていた。
 店長さんぽいお店の黒いエプロンをした女性が1人。妙齢。
 もう1人、入ったばかりと思われるお店の白いTシャツを来た女性。たぶん若い。
 そして僕にこの場所を示したお店のものではない背中に“5”と描かれた緑色のTシャツの上にエプロンをした女性が1人。不明。
 みなさんが美人でかわいかった。
 まあ、ざっとお店の内装はそんな感じだ。


「あのっ!!」
 挙手。
「すいません!!」
「はい?」
 “5”番さんが振り返った。アメリカンだった。コメディドラマやなんかでよく見る感じ。踏みだした足と手はそのままで、上体だけがこちらに向くというやつだ。
 そして歩み寄ってきた。
「えぇ~っとですねぇ~。トッピングをお願いしたいんですが、これも追加でお願いします……椎茸」
 そう最後に付け加えた。
「あ、はい……え? はい……」
 “5”さんが首を傾げながら僕から離れていった。


「しい……け? フフ……」
 女性店員さんたちから笑い声とヒソヒソとした声が聞こえてくる。
「……たけ? ああ、しいたけ? ……」
 どうやら笑いは取れたらしい。椎茸はちょっとめずらしいようだ。
 煙草を吸った。


「お待ちどうさまでしたぁ~」
 スープカリー到着。
 やっぱりスープとカリーは別々だった。そして、相変わらず野菜がいちいちデカい。
「どうも」
「ではごゆっくり」
「はい、どうもぉ~」
「あ、ちょっとスプーン取って」
 “5”さんが去り際に言った。
「はい」
 白いTシャツの女の子がスプーンの入った筆入れみたいのを僕の斜め前のカウンターの上に置こうとした。
「あ、どうも」
 僕が手を差し出して、それを受け取り、カウンターに置いた。
「あっ、すいませぇ~ん」
 チラッと見ちゃった白い歯。
 やっぱりかわいい……この席に案内され、座った瞬間に一番だと感じていたわけだ。
 とまあ、そんな上機嫌で3度目のスープカリーに手をつけた。
「いただきまっつぅ~ん……あ」
 そのとき僕は確認した。
「やっぱり……」


「あの、すいません」
 少し経って、すぐ目の前でなにかを切っていた白いTシャツの女の子に声をかける。
「はい?」
 女の子が顔を上げた。なぜだか知らんが笑っていた。
 それほどまでにハッピーになれるほど、このお店での仕事が楽しいのか? だったらおれも働きたい。
 そんな笑顔だった。
「あのですね? これ、スープカリーってどうやって食べるんですか?」
「あっ、スープカリー初めてですか?」
<いえ、3度目です>
「ん、いや、あ、ああ、ええ、まあ……」
 どうやら訊き方を間違えたらしい。
 “どうやって食べたら一番いいでしょう??”
 これだ ── ウメちゃんが以前、≪ショルバ~≫で同じようなことを店員さんに尋ねたこともあった。
 そしてわざわざその店員さんの女の子は、カウンターの向こうからスパスパと出てきて、僕のすぐ隣まで来てくれた。
 なんとも申し訳ない。
「えっとですねぇ~……」
 とはいえ、ちょっと食べ方をレクチャーしてくれるのかとも期待してしまった自分が情けない。
「……全部こっちに入れちゃう方も入れば、こっちに入れちゃう方もいますし、先にご飯をスプーンですくって、それをスープに浸すっていう方もいますねぇ~」
 メチャメチャ元気で明るく身振り手振りで説明してくれた。そんな彼女の姿を見てるだけで楽しい気分になれた。
 でもこの説明を聞くのは2度目だ。
「ああ、なるほどね。そうなんですか」
「ええ」
 しっかしキュートないい笑顔だ。
 説明するだけにわざわざこちらまで出てくるとは、なかなかハッピーな女の子のようだ。半実演付きではあったけど、口頭でも充分な内容だった。
 実に嬉しい。
「あ、あとですねぇ~。これなんですが……」
 そしてついに、それを告白するときがきた。
「……舞茸ですよね??」
「あ……」
 やっぱり気づいていたらしい。なおさら恥ずかしかった。もし穴があったら“シイタケぇ~~~~~!!”って叫びたかった。
「……食べれないです? さっき注文のとき“椎茸”って聞こえたんでちょっと思ったんですけど……あ、今からでも出しましょうか?」
「いえ、だいじょうぶですから。すいません」
「でもダシとかエキスとか出ますし……」
<“エキス”!!>
 ナイスでぇ~す!! そこで“エキス”と言っちゃうあなた、ベリーナイスです!!
「はい、だいじょぶです。ありがとうございます」
「食べれますか?」
「食べます」
「そうですか? もし本当にダメだったらよけておいてください」
「あ、はい……じゃあ残します」
「あ、だいじょうぶですか?」
 向かいにいた“5”さんまでが声をかけてきてくれた。
「あ、いや、単なる僕の読み間違いですから。バカでした」
「いえ」
「だいじょうぶです。すいません」
「だいじょうぶですか?」
 まだ気遣ってくれる隣の女の子は、本当にとても心配そうな表情だった。
 ああ、なんということでしょう。こんなにかわいい女性たちを困らせてしまうだなんて……男失格です。
「いえ、だいじょうぶです。いや、さっきメニュー見たときに“椎茸”って書いてあったんで」
 ああ、なんと強引な……でも本当に書いてあった。“椎茸”って書いてあったんだもの。
 こういう見間違いはよくある。本当にそう書いてあるのです。
「本当にだいじょうぶですか?」
 それは“頭が”ってことですか??
「あ、はい、本当にだいじょうぶです」
 プカプカ浮いてる舞茸に視線を落とした。
「試しにちょっと食べてみたら、意外においしかったんで」
「ええ、舞茸はおいしいですよ?」
 そう言って“5”さんが、いつの間にかカウンターの向こう側に戻っていた女の子に顔を向けた。
「うちのトッピングでもベスト5に入りますからね」
「ええ、おいしいです」
「でもダメだったらよけておいてくださいね?」
「はい、ありがとうございます。でも食べます。挑戦ですから」
 店員さんたちは笑っていた。
 そんなこんなで、僕はまたスープカリーを食べはじめた。舞茸は先に全部食べた。
 店員さんたちと話せたということで、良しとしよう。たまには犠牲も必要だ。


「舌、火傷しちゃいました?」
「いえ。ちょっと辛かったのです」
「だいじょうぶですか? 本当は“1”の下に“0.5”とかもあるんですよ?」
「あ、そうなんですか? じゃあ今度は“0”で」
 レジで“5”さんとそんな会話をした。
 じゃあ、そうメニューに書いといてください。
 お釣りとチラシとお店のストラップを受け取った。
「またよろしくお願いします」
 そんな感じでわざわざお店の入口まで送ってもらい、“5”さんに見守ってもらいながら、僕は帰った。
「ええ、また来ます」
 気分は上々。


 ……長い。

  • July 26, 2005 3:53 AM
  • 松田拓弥
  • [ ゲロ古 ]

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