「はいどうもぉ~」
ソファで横になっていた僕は、かるく片手を上げてその返答とした。
「あ、髪短くしたしょ」
「うん」
そして彼は自室へと上がっていった。
来週だか再来週だかのくずが出る番組で、トニー・アルメイダが出演するらしい。
嗚呼……ゼッテぇ~見る。目覚ましかけてでも見る。
わたしはトニーが大好きです。かなりのファンです。『24』で彼がなにかするたびに、「Oh, Tony……Oh, Tony……」と感慨深げにつぶやきます。
そんなこんなで、ついに『24』も佳境に入ってまいりました!! 残すところあと“Season 3”の12のみ!!
あぁ~、どうしよう……観ちゃおっかなぁ~……まだとっとこうかなぁ~……
でも観よう。
よし観よう。
明日観よう。
あのナイスガイなトニーが、ついにクロエに向かって言ってしまったこの言葉。
「君の性格にはうんざりだ」
ものすごく衝撃的だったよ、トニー。
あのナイスガイなトニーが……あの超ナイスガイのトニーが……
わかる。わかるよ??
あの性格にうんざりってのは、わかる。しかもあの状況だし……僕もたぶん耐えられない。
でも、うん、わかる。わかるんだけどもさぁ~……
というより、そんなことが平気で言えてしまうのがアメリカなのかぁ~と……それが文化の違いってやつなのかとね。
日本じゃ絶対ムリだと思われる。
しかも職場だ。
日本なら、ぎくしゃくしたくないとか気まずいのはゴメンだとか、その後のこととかまで考えちゃって、絶対言えないと思ふ。どんなにそんなことを思ってても、胸の内にしまっておくとか、いないところで壁に向かって鬱憤晴らすとかぐらいで、自分だけで始末をつけるんじゃないだろうか……
上司から部下とはいえ、それでも仕事上のことでは注意とかするかもしれんが、やっぱり性格に関しては言えないのが日本だと、かなり衝撃的だった。
で、キムとかも、クロエにいちいちつっかかられて、それにまた皮肉で返すあたりが素敵な社会だなぁ~と感じ入る次第。
しまいにはクロエも、ジャックにまで“そんな言い方はないと思うんですけど”と、ジャックに“Please”と言わせちゃうあたり、ホント素晴らしい。
そんな組織なんて、日本じゃまずあり得ないかと……
その人それぞれの性格とはいえ、やられたらやり返す、嫌われたっていいとか、上司だろうが同僚だろうが、そういうの関係なく自分の考えを“言える”とか、やっぱり個人主義だったり実力主義だったりとか、ホント文化の違いって大きいなと感じる名場面だ。
日本もアメリカにかぶれるんなら、そういうところもかぶれてほしいと思う。
しかしながら、クロエのあの表情……
ホントもう、小学生の女の子がふてくされたような表情……
なっかなかできないよぉ~??
すごく自然。
あの表情のときのクロエがすごく好き。
あの上目遣いといい、あのほっぺたのふくらみ方といい……
で、少ししたらキョロキョロして、すぐプイッとどっか行く……
時には足踏みするように、かるく跳ねるようにプンプンやる。
なんかもう、怒り方というか、ふてくされ方が、ホント小学生。それ以下かもしれない。
ひたむきな感じとか、自分の思いに忠実とでも言えそうなくらいまっすぐなところとか、すごく伝わってくるな。いいわぁ~……
クロエには、ホントいろんなことを感じさせられる。
あの顔をするたびに「ほらまた。その顔!! どうして君はそんな顔ができるの!!」と、クロエに叫ぶ。そんなときはあのうんざりするような性格もすべて含めて惚れてしまう。いや、とってもかわいく見えてしまう。
なかなかできねぇ~な、あれは……少なくとも日本のドラマとか映画じゃ~、観たことないな。
やってても、どうしても芝居だなとか思ってしまう。不自然というか、やっぱり大人がやるそのしぐさだなってのがありありと出てる気がする。
しかしクロエは……ありゃ普段からやってんな。すっげぇ~似合ってて違和感ないし。
なんだろう……女の人がふと見せるしぐさとかって、ホント重要だなぁ~と思い知らされる表情だな。
さらにある。
誰かに腕とかをつかまれると、必ずそこからじわりと相手を見据える。
もし視線にインクがあるとするならば、相手の瞳にそれがにじむはずだ。それぐらいの視線と感じてしまう。
あれはなんでだ??
“引き止めるな”
“つかまれる筋合いはない”
“セクハラよ”
“気安く触るんじゃない”
“まだ何かあるのか。もう言うことはないだろう”
それともそれら全部なのか……そのときの心情が知りたい。
そんな気持ちもわかるけど、なにもそこまで嫌悪感をむきだしにすることもないと思うんだけど。
まず、必ずつかまれたところを見るってのが、すっごいあからさまだし。
あんな露骨に自分の意志表現ができるってのが、ホント衝撃的だし憧れるというか、そういうところに入ってみたいという……
今度からおれも腕とかつかまれたらやろ。
んでもって、たしかあれは“Season 2”だったっけか??
ジャックと電話で交渉する男が言った言葉……
「お互いの違いを乗り越えようとするのは時間の無駄だ」
脳天にズドーンと降ってきた。爆弾で片脚吹っ飛ばされたぐらいショックを受けた。
そのとおりだと思った。
まあ、そのあとで、お互いの妥協点として“金”を交渉材料に出したのはどうかと思うけど……でもあんな逼迫した状況下なら、まったくの他人ならお金が食いつく可能性がもっとも高いだろうし、一番合理的かつ手っ取り早いと思うから、仕方ない交渉材料だろうな。というか、それで動いてるわけだし。
そのお互いの違いっていうのは、それを受け入れるってことで解決できることは、たくさんあるんじゃないか。
なのにそれを認めずにムリに乗り越えようとするから、そこに争いやなんかが巻き起こるんだと思う。
で、そこに払われた犠牲を、名誉だとか勲章をつけたりしてごまかす。そうしなきゃ、そこでの代償のとらえ方の違いでさえ受け入れられなくなってしまう。
違いがあるっていうのは、きっとだれもが認めてるだろうし、わかってることだと思う。
ただ、それを受け入れることができないだけなんじゃないか。
ミスチルの『掌』は、やっぱりすごい。歌詞ならやっぱり、桜井さん。あの人の感性が欲しい……でも、桜井さんになりたいとは思わない。
人間にとっては、成功や勝利や失敗なんかより、一番難しいのは、そのほかとの違いを“受け入れる”っていうことなんじゃないかと思う。
なにはともあれ、トニーファンだ。
どうしてそんなにナイスガイなの……
あんなナイスガイは見たことない。
顔もカッコイイし、ナイスガイだし、素晴らしいアメリカンガイだな。
“Season 3”からのチェイスもカッコイイんだが。
キムはやっぱし、『GIRL NEXT DOOR』のほうがいいわ。キム・バウアーって言いづらい。
トニー……トニーよ。
とりあえず、ミシェルに電話に出たとき“デスラー”って言わせるのはやめてくれ。名前負けしてる。そんな迫力あるお顔立ちじゃないだろうに。
しかしながら、トニーのあの回復力は超人的だ。
1日で撃たれた傷をもろともせず、あっちこっち走りまわったり、現場で撃ち合いとか思いっきりミシェルを抱きしめたりできるようになるなんざぁ~、疲れを知らない子供以上だぜ。
素敵だよ、アルメイダ。
- September 14, 2005 5:57 AM
- [ ゲロ古 ]