そして住み込み1日目。
頼まれているサイトを作っていたら、いつの間にやらお昼過ぎ。
こりゃ今から寝たら、絶対起きられねぇっつーことで、ついに決行。
しかし、結局一睡もできず。
俺様たちがいなくなると、電気も消して真っ暗になるバイト先。
そしてそれは、俺様たちがまた翌日に来るまで続くことを俺様は知っていた。
前に忘れ物を取りに行ったら、エアコンだけがビュービュー音を立てるなか、真っ暗なままの作業室がそこにあった。
その奥、俺様たちの作業する部屋を突き抜けた向こうに社員たちの別室がある。光と笑い声が小さな窓が漏れている。
だから、だれもいねぇと思ってた。そして静かだと。
しかしうるせぇ。
どこからともなくオッサンたちがやって来ては、奥の別室にいる会社全体のアイドル的な社員さんに話しかけていきやがる。
まあ、俺様も例外ではない。
その人は、半端じゃなく美人だ。ここでは、なぜかジェシカという仮名にしておこう。
初めてジェシカさんを見たときは、腰抜かすかと思ったぐらいビビッたもんだ。人を見て気後れとはなかなかない。
狭い休憩室で出くわしたときには、二人きりでもないのに、めずらしくドキドキした。
「そやって若い男騙してんでしょ~?」
その場にいた課長がそんな無礼なことを言った。
一瞬、その人が固まって喉の筋肉がキューッと締まった。俺様はそういうごくごく小せぇことほど見逃さない。
そして、目が合った。
「いやぁ~、ジェシカさんになら騙されてもいいっすよ」
……なぜ俺様はあのときそう言えなかったのだ?
まったくケツの穴の小せぇ男だ。
今でもついつい別室から出てくると、なにげにその姿を目で追ってしまう。
「え~、そんなことないよ~」
ジェシカさんは、課長にもだれに対してもタメ口で話す。
見た感じの雰囲気は、完全に近寄りがたい。そんなオーラが出てるわけじゃない。ただ自分への自信ってやつが急にしぼんでいく感じ。でも話すと気さくなんだな、これが。
そして、ちょっと変。
こないだは、更衣室に入る直前、同僚の女の人に“今日これからなんか予定あるの?”と訊かれて、片足で跳ねた。
「な~んもない」
ん~……最高だ。
できれば俺様も普通に話せるぐらい話せるようになってみたい。
でもできない。
いや、あのとき逆に二人きりだったら話せたかもしれん。
でも、そんぐらいの美しさを誇る。
俺様は知らんが、俺様より長い人の話によると、“若いときは、なんでこんなとこにいるの?”っていうぐらい可愛かったらしい……あり得へん。
噂によると、年は三十代の後半ぐらいになったらしい。
まま、俺様ももう今んとこはかれこれけっこう長いし、それぐらいで実だと思う。
しかし全然見えねぇのだよ。
本当に人形みてぇだ。スタイルも、たぶんいい。俺様は、どうしても興味が沸いて沸いてしかたない人相手だと、なにげに服の上からでも透視することができる。
人間のイマジネーションは、現実をはるかに凌駕する。
そしてその人は、どこだかの部長の妻。
今はどっかに飛ばされていないらしいけども、その事実に変わりはない。
しかし、俺様がジェシカさんの大ファンってのは、わりとこれけっこう有名らしい。
だが危険だ……危険すぎる……
まあ実際、ジェシカさんとは気軽に話せるようになっただけで、それだけでもうバイト行くのが楽しくなるだろうて。ムダに早く出勤しそうだ。そんなの想像するまでもないぐらい明らか。
でもやっぱり、どぉ~~~~~しても想像してしまうのだよ……
<……ジェシカさん、今日はちゃんとパンティーはいてんだろうか?>
- August 27, 2007 1:32 AM
- [ ゲロ古 ]