その人の恋人になるための負けないメールのやりとり法

 まあ、せっかくなので、その方法論とやらを、みんなにも伝授してみようかなと思う。
 だいたいほとんどの人間に通用するんじゃないかな。男女問わずだろうけど、特に女に効果がある。
 絶対とは言わない。
 それはなぜなら、いくら人間、女といえど、人には人それぞれに、その人なりのプライドというものが存在するからだ。それはなかなかその人本人以外の人間が取り払うには難しい。
 もしまかり間違って、その人があなたよりも先にここを見つけてしまった場合は、その人のプライドがそこに屈しまいと頑なに拒否反応を起こすかもしれない。
 人間、自分以外のだれかに自分の内面の地図を描きだされることほどイヤなことはない。

 しかしながら、それすら無害なものに変えてしまいかねない。いや、そんな人間の本能に関わる部分すら利用してみようじゃないかという試み。
 というより、そういうものが強ければ強いほど、これは浸透していってしまうかもしれまいに。

 None none, すでに実践済み。
 そして、それらすべては、俺様により立証されている。

 今のこのご時勢の恋愛事情を鑑みれば、ケータイに限らずとも、メールを制す者が恋愛を制すと言ってもよくね?
 思わね?



 だいじょうぶ。問題ない。
 必ずあなたは、その人の恋人になれるから。
 そして、あなたがお願いされる立場になってるから。
 たとえ告白されなくとも、すでにその人は待ってるはず。

 まず、その人の“習慣”になること。
 それが第一条件であり、最重要なポイントであり、それがすべて。
 それさえ完璧にこなせていれば、あとの小手先だけの小細工なんざ意味がないくらい。



 人間の習慣になるということは、もうすでにその人の人生の一部になったと同じぐらいの価値がある。
 クセというやつだ。無意識にやってしまう。あるいは、気づけばやってしまっていたという次元の話。
 これはなかなか抜けるもんじゃない。
 その人間の行動や思考というやつのほぼは、その本人が自覚できてる意識より、そうじゃない無意識のほうに支配されてると俺様は思ってる。
 だから、そっちのほうに入り込む。染み込んで、浸透していくわけだ。

 じゃ、具体的に。
 その人にとってある程度都合のいい時間に、メールをする。
 このとき、完全に暇なときじゃダメ。このある程度っていうのが、ここの醍醐味。
 完全に暇だと、その人にとってもただの暇つぶしになってしまいかねない。そう思われても仕方ないわけだ。
 ある程度だと、けっこう意識に残りやすい。たまたま忙しいときなんぞに出くわせば、それは、そのタイミングでメールした自分を褒めてやったらいい。

 忙しいときに邪魔が入ると、やっぱ人間、うっとうしい。
 でもそれは、同時に意識に強烈なインパクトを残すわけだ。
 人間、いいことはわりと早く色褪せるとて、イヤなことってのは、なかなか消えちゃくれない。意識が向くから仕方ない。
 自分をいい人間だって思いたい人は、できるだけ人とのいいことを憶えておこうとするんだけども、努力っつーのは必ず怠る。むしろ、怠るからこそ努力と呼ばれる。
 そして、偉いと言われる。人に言えば、なおさらだ。

 でもって、忙しいときっつーのは、そのたいがいにおいて時間に追われてる状態なんだな、これが。悲しいかな。
 だから、無意識にでも時間も一緒に見るわけだ。ケータイに表示されてるものにしろ、腕時計をする人なら、袖をまくるかもしれないし、思わず自分の動脈を確認してしまうかもしれない。
 時間と一緒にあなたからのメール、アクション、そして存在がその人のなかにすり込まれれば、もう自分に拍手を贈ってあげたらいいよ。
 “YES!!”ってガッツポーズしてもいい。

 ちょっと返事がこないからって、嫌われてるとか迷惑だったかなとか、やっちゃったかなとかマイナスな方向に思っちゃいかん。
 その後、一ヶ月とか返信がないとか完全に無視されたんならそう思うべきだけど、次の日、いや、その次の次の日ぐらいにでも返事がきたら、お祝いのシャンペインだな。もしもい相手が謝ろうもんなら、勘違いも甚だしいとほくそ笑んだらいいよ。



 最初のうちは、毎日、いや、相手の性格とかを考慮して、人によっては、毎日のように繰り返すほうがいいかもしれない。
 それを繰り返すことによって、その時間を気にするようになるわけだ。言うなれば、無意識に気にしてるわけ。
 “あ、そろそろメールくる時間だ”とか“メールくるかも”とか、もしかしたら、無意識のうちにその時間帯になったらケータイをどこか目につくところに置いとくようになってるかもしれない。
 暇だろうが忙しかろうが、あなたからのメールを待つようになるわけだ。本人にはそんな意識はなくともだ。
 忙しいときなら、さらに時間を気にするから、なおさらいい。どんどんすり込まれていく。“やっべぇ、今忙しいのにまたメールくるかもしんねぇよ”とかな。鳴ってもいねぇのにケータイ開いて確認しちゃうようになってるかもしれねぇよ。
 おもしれぇよ。



 そうだなぁ~……とりあえず、一ヶ月。
 毎日を三ヶ月もつづけたらダメ。ドラマのなかじゃ、二人の恋愛が始まって一度終わって、またやりなおせるだけの時間だからな。
 もしその人がドラマを見る人なら、そのドラマもチェックしておけたらよりいいかな。そのドラマに連動して自分の恋愛も発展しくと楽しいかもしれない。人ってのはけっこう目から入ってくるものに影響を受けやすいし、流されやすい。
 そのなかの流れをちょっと織り交ぜてみると、香りがさらに強くなって、その人に染み込んでいくのが早くなる。

 一週間で充分な人もいるけど、とりあえず一ヶ月。
 この段階での内容は、なんでもいい。しょうもない日記みたいなものでも、たった一行とか二行とか、“おはよう”だけでも、それに“今日もがんばるぞー!”とか、鼻で笑われるようなことでも無視されて仕方ないものでもなんでもいい。むしろそれだけのほうがいいかもしれない。
 極端な例では、毎日まいにち同じ時間であれば、丸ごとコピーしただけのメールでも可っつーこと。

 とにかく、送ることに、自分からアクションを起こす ──── そこに意味がある。
 相手のことなんてお構いなしに、自分本位でいい。
 多少嫌がらせに近いほうがいいかもしれない。
 ただ、仕事中だってわかってる場合は、電話するのはやめとけ。本気でイヤがられるだけだから。
 朝の一発目と仕事中は、メールで攻める。
おはよー!天気いいよー!休みまでもう少しだし、今日も仕方ないからがんばるぞー!

 そそ、働いてる相手なら、一ヶ月後にはお給料というやつをもらうわけ。短いようで長く感じてる期間No.1が、一ヶ月。
 一ヶ月あれば、だいたいその人のなかの意識になにかしらの変化が起こる。お給料をもらって、なに買おうか、前から欲しかったものを買うか、ちょっとしたことでも変化があり、それを期待する期間なわけ。
 心にゆとりができちゃうわけ。

 そう、いわゆる“錯覚”ってやつだな。もうこの際、“倒錯”と言ってもいい。まあ、交錯でもいいや。
 しかも、恋愛においては、一番質の悪いやつ ──── “自分でもなんでかわからないけど、気づいたらいつの間にか”ってやつ。
 これが一番質が悪い。
 時間を気にしてたのか、それとも、“この人”だったのか……
 忙しくて今まで気づかなかったけど……
 そういえば、最近は全然外食なんてしてないとかなんとか……
 やべぇ、そういえばがんばるぞーって、それでおれもがんばらなきゃとか思っちゃってたかも………
 またきたよ、うぜぇ……
 まま、必ずや、なにかしらの意識が芽吹いてる。

 でだ。
 やめない。ここでやめちゃいけない。
 ただ、メールの内容を変える。
 いったん身を引くのは、もうちょっとあと。完全にその人の意識が変わったとき ───── そのときじゃなきゃ、この段階でそれをやると、その人の意識も一緒に引いてしまうわけだ。
 ここではまだ、内容をちょっと変えるだけ。ほんのひと工夫だ。

 相手への気遣い。

 それまでは自分本位だったそこに、今度は、その人への配慮という甘味を配合するわけ。そこに時間的な要素も加えてみると、さらにアッパレ。
 朝一ってのは、なかなか印象が強い。しかもメールだから、ホントに面倒くさけりゃ無視できるわけ。
おいっすぅ~!! 8時だよー!! あ、でも、今さらだけど、毎日まいにち朝からうざくてごめんね……今日もがんばるよー!!(笑)

 で、それをまたしばらく続ける。
 理由なんて特にないって思われるぐらいがいい。ほかに考えられないっていうぐらいなほうがいい。
 “あり得ない”っていうやつだ。



 この段階では、だいたいチラッとでも友達に話す。冗談交じりに言うかもしれない。軽口まで織り交ぜるかもしれない。
「そういえば最近、別に付き合ってもいないのに毎日のようにメールしてくる人いてちょっと怖いんだよねぇ~、アハハ……」

 それを聞いた友達は、果たしてどう思うだろうか?
 ぶっちゃけ、まんま気持ち悪いと思う人も少なからずいるだろう。
 でも友達なんだし、とりあえず興味は湧く。友達の危機か、あるいは喜々だ。
 その会話の前後関係にもよるとはいえ、ほぼ8割超えで決まって言うのはこうじゃないか?
「マジ? ウザいね、それ。たしか怖いわ….…っていうか、好きなんじゃん」
 そしたらあなたは心のなかでつぶやくよ。
< 知ってるよ、そんなこと >
「そうかなぁ~? だって別に告られたわけじゃないし……」
「なにが悲しくて毎日まいにちメールしてくる? 絶対その人、あんたのこと好きだって」
 こういう状況での友達の後押しっていうのも、これがけっこう侮れない。
 まわりからはやしたてられれば、さらに意識も高まるってわけだ。
 そんな話題出てきたらその友達さんも食いついて、当然あなたのことを訊くわな。そしたらその人もしゃべるわな。あなたのこと思い出すわな。意識はどんどん高まるわな。
 そのうちえっらいノッっちゃって、もしかしたら、あなたからのメールまで見せちゃうかもしれないわな。
「ほら、こんなすご……」
 そしたらどうよ?
 自分でも今まで気づかなかったけど、こうして改めて見たら、気づけばメールの履歴はほとんどがあなたからのものだよ。
「……っていうか、すごっ」
 そのときはたぶん、友達さんのほうがニヤニヤしてるさ。

 まあ、そんなお囃子フレンドシップはなかったとしてもだ。
 そのときすでに30回に1回でも、その人からメールがくるようになってれば、そいつはもう“A+”だ。
 でもだいたいは、もうお互いのメールのやりとりになってるはずだ。一方通行は卒業してる。双方向のコミュニケーションが成立してるはず。
 まだ一方通行なまんまなら、もうだいたい見切りつけてほか探したほうがいい。
 少なくとも、朝のメールなんてしなくても、その人はちゃんと起きてるころだな。あなたへの返事を打つために。仕事中なら、無意識にでもメールには関係なく、その時間には時計を見るクセがついてる。
 いつもより多めにケータイを開いてるはずだ。

 というより、その人からのアクションがあるまで続ける。初アクションがあったということは、もうその人のあなたに対する意識が変わってると思っていい。
 それは、完全に習慣になってる上に、クセになりかけてる兆候だな。
 そういうどんな些細な兆候をも見逃さないために、常にアンテナ張っておくことが重要。人間の意識に変化が起こったら、必ずそれは外にも出る。
 受身なのが習慣、自分から動きだしたら、それはもうクセ。



 そしてこの段階になって初めて、メールの回数を少しずつ減らしていく。
 毎朝はやめる。仕事中はゼロにする。
 いつかその人から“寝坊した”とかいうメールなんぞ届こうもんなら、その返事には“めずらしいね”で対応だ。間違っても“ごめんね”とか勘違いした返事は送らないように。
 そして、メールしない理由に“忙しくて”は使っちゃいけない。それまでその人の忙しさなんて無視してきたわけだから、一応はその人を優先してるんだよっていう意識は消しちゃいけない。

 人間やっぱし、自分に好意を寄せてくれる人に対して、その人を意識しないわけがない。嫌いな人ってやつは、完全に自分の意識から排除できないってのと一緒だ。
 嫌いな人ってのは、意識的には“どうでもいい”とか思いつつも、その人が同じ部屋に入ってきただけで嫌悪感を抱いてしまうわけだな。つまり、それはその人の存在を常に意識してる、あるいは、勝手に意識のなかに取り込んでしまうわけ。
 そゆこと。

 自分の意識が勝手に向いてしまう存在ってのは、どんなに“どうでもいい”とか“消えればいい”とか意識しようが念じようが、勝手にその存在を自分のなかに取り込んでしまうわけ。
 でもまだ曖昧な状態にしておく。それがいいのだな。



 なんだかんだで幸せはまだ向こう側にあるかもしれないとはいえ、ここが恋愛において、一番楽しいと感じるはず。
 片想いしてるあなたにとっては一番苦しいかもしれんけど、相手にとっては、のちのち笑って話せるようになる時期。相手が笑ってるとき、きっとあなたは、心のなかでほくそ笑んでるはずだ。
 ここがうまくいけば、その後もうまいこと運べる。
 “おれ、あいつのこと好きなのか?”
 “わたし、実はあの人のこと、気にしてる?”
 ……“でもメールだけで特になんか言ってきたわけじゃないし、っていうか自分の勘違いだったら恥ずかしいし”……っていうかそれ、最悪(苦笑)

 かといって、あなたが暇だっていう印象も与えちゃいけない。
 人によっては、単なる暇つぶしの相手だと思いこんだり、はっきりした言葉で伝えてこない限り、そう思わないように自分を律してる人間なんてのもいる。わかってるのに、わかってないフリをする。
 それが、プライド。

 でもって、その人に完全な安心というのを植えつけるのは危険極まりない。
 特に男相手の場合。たぁ~だ調子こかせるだけだから。
 “自分のこと好きかも……?”っていうふうに、あなたの気持ちをにおわせて、その人がそこに食いついたものを自分の気持ちの錯覚と一緒に飲み込ませる。
 あなたが発したにおいによって、その人のなかに芽生えた気持ちに安心感を与えるのが狙いではあるけど、ただの安心から居心地のよさにまで発展させてしまうと、むしろ“この関係を壊したくない。壊れるぐらいならこのままのほうがいい”なんていう大人ぶった感情に変わってしまう。
 自分のプライドを、お互いのためだみたいに、あたかも自己犠牲みたいに正当化しようとするようになっちゃうわけだ。
 いったん変に善人ぶっちゃうと、よっぽどのことがない限り受身に徹するようになるか、絶対に安全と思って保険にされる危険がある。
 +アルファ、そこにあなた自身も慣れてしまうことが一番危険。



 まま、ここの狙いは、一時変化した意識を今度は、うまく元に戻すことにあるわけだけど、それは、多少舞い上がってたかもしれない自分の状況を冷静に見つめなおさせる時期。
 というより、あたり前に楽しかった時間、楽しくなってた時間を、もう一度改めて引っ張ってこさせるわけ。
 だからメールは、減らすだけ。
 つまり、その人にしてみたら、“いつの間にか自分のほうからメールしてること多くなってたな”っていうこと。



 さて、んじゃあこのへんで、電話についてもちょっと触れとこうかな。
 あくまでメールのやり取りってことではあるけど、メールとあらば、やっぱケータイだろうし、ちょっとぐらいは電話で生の声も聞きたくなるってなもんだ。
 ズバリ、電話は、“おやすみ前”にすべし。
 “知ってる”なんて声がたくさん聞こえてきそうなもんだけど、改めて。

 朝の電話は、“起こして”なんていうお願いでもなければ、ただのありがた迷惑。男ならなおさら。女なら、無理して“ありがとう”って言ってくれるだけだ。
 仕事中なんてもってのほかだ。
 でも、おやすみ前なら、多少の嫌がらせも許される。これは間違いない。

 無意識に“もうあとは寝るだけ”なんていう変な安心感が巻き起こってるわけで、そこをチクリとやったぐらいじゃ嫌われたりしない。むしろ、それぐらいなら、その安心感に乗っかれる可能性のほうが大きい。

 そんでもって、人間ってのはどうやら、自分が安心した状態じゃないと眠れないらしい。
 だから、あなたが習慣になれば、極端な話、その人は夜眠れなくなるわけだ。ちょっと先走ってみると、あなたからの電話がないからって、何度も寝返りを打つようになる。さらに先走ると、夜ちょっと眠れないからって、その人から電話がくるようになるかもしれない。
 大切な人になにかあったらなんていう不安があると、安心して夜も眠れないっていうあれは、実際に嘘でもないわけだ。
 まあ、そんな電話できるようなころには、その人がいつ寝るかぐらい情報としてちゃんと入ってきてるはず。
 というより、そうじゃなきゃ“おやすみコール”はしちゃいけない。
 なぜなら、その人がむにゃむにゃしてるときが一番効果ある。ちょっとだけ起こした状態。

 イライラと安心が一番共存するひとときなわけだ。
 眠れない状態と、眠ってるような状態。
 安心した状態で眠りに入ろうとしてるときに、それを邪魔されるというイライラと、また安心の状態に入ろうという境界線なわけ。
 そのときの会話なんてどうでもいい。きっとその人もたいして憶えてない。
 でも、あなたと話したっていうことは、しっかり記憶に残るわけ。
 きっと次の日にでもメールしてみたら、こんなことが書かれてくるはず。
“ごめん、昨日の夜、電話でしゃべったっていうことは憶えてるんだけど、寝ぼけててなに話したか憶えてない……なんか変なこと言ってなかった?(笑)”

 It's a perfect.
 もしそんなようなことを言われたら、とりあえず恥ずかしいことも知られてるっていう印象を残すために、作ってでも笑いに変えてあげるといい。
 “そういえば、切るちょっと前ぐらいに“もう食べられない”って言ってたよ”とか、ここは思いきって、あなたの名前言ってたよとか笑いながら言ってみるのもいいかもしれない。
 そこは嘘だとバレてもいい。とりあえず笑えりゃいい。
 そしてそのあと、さらっと“なんかむにゃむにゃしてて可愛かったよ”とつけ加えると、なお可。それは男女問わず効果あると思われる。
 ここで、ちょっと小出しにしたあなたの気持ちが、その人にとってただのにおいから、いいにおいを漂わせはじめるわけだ。
 その人の脳内に酔いがまわりはじめる……そこにある世界がその香りにひれ伏す日は近い。
 においは人を殺せるのだ。

 ただし、ここは、そのサジ加減がとても重要。
 メールの頻度はそのままに、内容をガラッと変えて、さらに、週のどこかに定休日を作る。
 内容は、極力事務的な感じに。コピーではないけど、たいして代わり映えのない内容。そして、変にその人を気遣うような言いまわしを織り交ぜる。
 ここでその人は、一時的な混乱を自分のなかに招く。

 “あれ?”

 これ。
 これが重要。
 自覚できる意識が変化して、無意識のほうが混乱する。
 “もしかして遠ざけようとしてる? なんかすごい気ィ遣ってる?”



 しかしなんでかねぇ~……
 男と女じゃ、まるで違う。

 男はそこでおかしいと思ったら、自分からアクションを起こす。それは、ただおかしいと不安に思ったからにすぎない。感じなければアクションはない。むしろ、だれからも好かれたいとか支配したいというところから、自分の優しさアピールも含まれる。
 でも女は、そうなると自分からアクションを起こしづらくなる。理由は簡単。プライド。
 傷つくのはイヤだっていう恐怖と、恥かきたくないのと、ただからかわれたんだっていうネガティブと、ほらねっていう男はわかりやすいという達観と、最初に言い寄ってきたのは向こうだっていうプライド。
 そしてなにより、それら全部を包みこんでの“理由がない”という言い訳。
 それらが邪魔して待つようになる。イライラするのを我慢してでも、待つ。
 だからサジ加減が難しい。

 男は、この段だともうここでバッサリと止めてもいい。何日かの定休日のあと、パッタリやめる。
 むしろそっちのほうが効果あると思う。
 男を支配するのは、それ以上の支配でしかない。
 不安に押しつぶされるというより、安心が消えるということのほうを怖がる。一度安心を手にすると、こういうときは行動が早い。それも、ノー・プランだ。
 だから、そのまま続けるか、ここでピタリと止めるか。

 女は、いろいろと比較する。そして結果を導きだそうとする。
 女を突き動かすのは、不安とプライドだ。
 メールの頻度が減ったとか、最近急に週末だけメールがこなくなったとか、過去のメールをさかのぼって読みはじめるかもしれない。
 まあ、実際には“最近”と思えばそれはみんな“最近”になるんだろうけども、マイナスになりそうなことだと、最初のうちは拒絶する傾向にある。
 女は過去から今を作りだす。ホントの今なんて実際どうでもいいわけだ。
 だから完全にかまわれなくなると、プライドやなんかが邪魔して、そのまま終わるケースが多くなってしまうというわけ。

 つまり、男は今までずっとあたり前にあったものが突然パッと消えることに衝撃を覚えるけども、女は、じわじわと少しずつそれが色褪せていくことにもっとも不安を覚え、嫌がる。

 ここは、その人と自分の歯止めの時期。
 まあ、実際には男も女もたいして変わんないんだけどさ。



 とまあ、ここまでくれば、あとはもう気まぐれに接してても、そのうちその人のほうから告白されるだろうて。
 男なら、すでにちゃんと付き合ってセックスしたいという意識が芽生えてるはずだ。一日の最初と最後の存在になってる。
 女なら、好きなんだって自分で気づいてる。二人きりで出かけた際、さりげなく手をつなごうとしてもイヤがられることはない。
 最初のころぐらい頻繁とはいかないまでも、それなりの優先度をもって連絡してればだいじょうぶ。
 この時点で船は、もう出港した。

 あなたがもし男なら、焦らせ。
 あなたがもし女なら、女であることのすべてを利用しろ。
 そうすればその恋は、波に乗る。



 とまあ、最重要ポイントはこんな感じかなと。
 とにかく“習慣”になること。染み込むこと。じわじわと浸透していくこと。

 男でも女でも、やっぱし“時間”というやつは、なにかをはかる尺度としてかなり重要な位置を占めるために、ゆっくりのほうがのちのちのことも考えればいいと思う。
 恋愛は、いつ始まってもいいけども、別れるときはザックリ終わらせようとする。
 じわじわとインクが浸透したスポンジだと、どこで切ったらいいかわからない。
 それと一緒だ。



 あとはまあ、小手先の小細工もいくつか補足しとこうか。
 
 メールのやりとりにいちいち区切りをつけない。いや、あえて区切りはつけさせない。そこは避けよう。
 これは、さっきも挙げた“理由がない”っていう理由をあらかじめ消してあげることにある。
 一度区切りをつけてしまうと、次にメールをする理由がないという状況になるかもしれないからだ。

 特に、プライドの高い人間にそういう傾向がある。
 “自分からなんてメールする理由がない”といい、“特に用事ないし”という。
 だからその人に、こちらからメールをするための“口実”と、自分を納得させるための“言い訳”を提供するわけだ。そうすれば、相手も気持ちよくメールを出すことができるってわけ。

 たとえば、一番わかりやすいのは、一日遅れること。
 それまではこまめに返事が届いてたはずが、急にこなくなること。そして翌朝、ケータイ開くと届いてる。
ありがとう!実は昨日、真夜中に近所のスーパーで秘密のタイムセールあったんだけど、メールの時間見て思いだして慌てて行ったら間に合ったよ!0円のおまけもらってきました(笑)

 とかな。
 それが実は、テニスでいう“ラブ”だったりしてな……まあ、だれも気づかんな。
 まあ、理由なんて、後付けでいくらでも書けんだな。
 たとえ嘘がバレても、おもしろけりゃいいんだよ、そんなのは。そのあとのフォローですべてが決まるわけよ。
 “そして、あなたとメールで過ごせたひととき、プライスレス”とかな。

 とにかく、そうすれば、毎日メールをする理由がすでにそこにあるわけだ。起きたらもうケータイに理由が届いてる状態。
 つまり、その人にしてみれば、“きたメールに返事してるだけ”っていう意識でメールが打てるわけだよ。
 これはホント小手先だけの小細工で、本気で無意識だけに働きかけるもんだから、やれたらなお良しってセクション。
 でも、ここ意識しとくだけで全然違うと思うよ?



 でもって、先ほどの“そして、あなたとメールで過ごせたひととき、プライスレス”とかいうような一文も、その前のメールのなかに入れておけると、その人が感じる部分がより広がるよな。
 人間、理解するのは返答とか報告だけど、感じいるのは、それ以外の部分 ──── つまり、余談だ。
 だから、その人の心をいかに感じさせるメールにできるかは、どれだけ余談を書けるかにある。

 余談のないピンポイントなメールでは、相手はなにも感じない。読んで理解するだけなら、そんなメール必要ない。電話なら6秒で済む。
 他人の日記をただ読まされてるとか、始末書でもあげてきたのかという印象しかない。
 仕事みたいなメールじゃ、つまらない。
 そんな印象しか残らないわけだ。あなたの存在自体がつまらないとか思われてしまうかもしれない。
 その人を感じさせなきゃいけない。

 逆に、メールがおもしろければ、その人もおもしろい人なんだという錯覚を起こす。これは間違いない。
 人間、書ければ、しゃべれると思われがちだ。
 それは大間違い。
 メールと、しゃべるっていうのは、似て非。非すぎ。



 リアルタイムな情報の混入と、考えるゆとりが与えられるっていうのでは、言葉を発する上で、大きな差が出る。
 メールは、絶対的に考える時間ができるわけ。ある程度なら、答えを準備しておける。
 あるいは、自分だけのシュミレーションみたいのができあがってて、段取りみたいのを構築してる場合もある。
 でも、しゃべるってのは、考えることもできるけど、そうそうそんな暇はない。
 実際にはべしゃれないけど、メールではマシンガントークみたいなことも簡単にできてしまうわけだ。
 その差はあまりにも大きすぎて、それだけの世界では、二人きりのあいだでは、測るなんて不可能に近い。
 だからしゃべりは苦手だけど、メールは得意っていう人間も多い。ただケータイで長文打つのが面倒っていう人も少なくない。

 つまり、逆にとれば、メールでつまんないやつは、本当につまんないやつだと思っていい。

 それでいて、まったくもう、全然関係のない話ってんじゃダメなんだな、これが。
 余談の難しさは、きっとそこにある。
 全然まったく関係のない笑えもしない話だと、それ以外の話も同じようにとられてしまわれがち。冗談ばっかり、盛ったような話ばっかだと、あなたの言うこと全部をそうとられるようになってしまう。
 それじゃのちのち困るぞ?

 まったく関係のない話を引っ張ってくるときは、書き終わった最後に、自分から一応 “ あ、関係ない? ” って断りを入れておくといい。
 どうしてもそれなりの長文が書けないって人は、それに対して実際に声だしてしゃべってみればいい。
 で、それをそのまま書けばいいだけ。
 人間、お口を動かせば、いらんことまでしゃべるもんだ。

 まま、気持ちを伝えるときだけは真剣そのものっていう自信があるなら、そのギャップを利用するっていう手もあるけどさ。
 まあ、無理だろ。
 文章なだけに、出せることと出せないことに限界が、なおあまりある。



 メールっつーのは、たかが文字だけど、たかが文字だからこそ、その人のいろんな面が出るわけだ。むしろ、出てこない部分のほうが少ないと思われる。
 それでいて一番手っ取り早い。
 その人について知りたいと思ったら、とりあえずメール書かせてみるといいよ。しかも長文。さらには、自分とまったく関係ないことについて。
 文体、書き方、言葉の選び方、文章の並べ方、文章の組み立て方、とにかく、ありとあらゆることがいろんなことに重なって見えてくることがある。けっこう驚愕。
 特に、お題は “ なんでもいいよ ” っていうお題だな。
 ……そのお題だと、だいたいがなにも書けないと思ふ。



 これはもう何十回と書いてるけども、タイトルがタイトルだけに、また改めて書いておこうかな。
 とにかく読みづらい文章ばっかり毎回まいかい書いてよこしてくるやつは、自己中だと決めつけて間違いない。
 ビッチビチに詰めてくる。顔文字のあとにすぐまた文章を続けてくる。句読点がない。一切漢字を使わない。カタカナ連発、ひらがなばっかし……これはホント、とにかくキリがない。
 自分がその文章を打ってるってことしか頭にないってことだ。
 自分が打ちたい文章しか頭のなかに描けてない。二人称で、それを読む相手がいるっていうことを忘れてるわけだ。
 相手の気持ち、相手がどう感じるかっていうことまで見えないんだな。

 で、あと、ただの日記しか書けない人。
 これってけっこう多くないか?

 それでまた自分の感情っていうのがまったく入ってないとか、その日のタイムスケジュールの提出かよっていう内容。
 せめて “ どこそこ行ったら楽しかった ” とか入れようよ。もうちょっとがんばって、相手に出すんだから、“ 今度行ってみたら楽しいよ~? ” とか、なにかしらアクション起こしやすいように働きかけるとかないかな。
 そうさ、つまりは、それを受け取った側が、なんて返事したらいいか困るような内容のメールしか打てない人。
 しかもそんな内容が一行だけとかったらもうもうもうもう……

 サイッテー。

 ただ!!
 ただな。
 そこが腕の見せどころだよ。
 “ 今日ラーメン食べてきたよ ” なんてそんな一行のメールがきたとしよう。
 実際それを読んだ直後声に出る返事なんざ、たぶん “ ふぅ~ん ” ぐらいなもんだ。
 でもそこで、“ そうなんだ。美味しかった? ” とか、あなたが広げてあげられるぐらいのゆとりがあると、その人もメールしやすくなるだろうし、メールしたくなるんじゃねぇかなと。

 ただ!!
 またただ!!
 それがうまくなりすぎると、その人のほうが、自分がする必要ないとかそんなこと考えなくなって、できなっちゃうから気をつけよう。
 いっつもそればっかりになっちゃうぞ?
 すぐ疲れちゃうぞ?



 もういいや。
 どんどん話が長くなるだけだな、こりゃ。
 そのへんに関しては、またいつかってことにして、ほかの小手先。

 ……いや、もう特にないな。



 とにかく、メールのやりとりでいい感じな一通に必要な要素は、以下の7つ。
 ユーモアと、事実の報告と、それに対する自分の気持ちと、その人への配慮と、多少の強引さ。そして、余談。
 と、余白 ──── ゆとりだな。
 それを、最低限必要な4行にまとめること。

 たとえば、とりあえず昨日の夜、“ もうおやすみ ” って言われそうな夜の1時半に返事をやめて、普通に起きて顔を洗ったあとにて。
おはよぉ~……やっべ、なんかまだ起きてないかも。ちょっと……あっ、いや、やっぱりだいじょうぶみたい!! ほぉ~ら、今日もちゃんと起きてきましたよぉ~!!

って、昨日眠いって言ってたのに夜更かしさせたくせに、朝っぱらからすみません。でもまた寝ぼけたソー・キュートなむにゃむにゃ声出してんのかな?(笑) ちょっとトイレ行ってきます……それから、ついでに会社に行ってきます(笑)

 これじゃ5行だな。
 前後1、2行のプラスはありってことで……それが余白。



 あとはまあ、文字とはいえ、できるだけ普段話してる感じの口調になるように書けるといい。
 不必要にその人へ安心感を与えることができる。
 できるだけ砕けた感じか。多少いつもより上まわってるほうがいいかもしれない。
 人間っつーのはこれ、不思議なもんで、ロマンスだの刺激だのを欲しがるくせして、いつもどおりのっていうやつも求めてやまない。そこから安心感を得るんだな。

 文字だとどうしてもかしこまるっつーか、声のニュアンスとか顔の表情とかは出せないとわかってても、それを忘れがちな文体になってしまうわけだ。
 だから、おもしろさを出したいなら、それが出せない分、あとはもう言葉そのものをおもしろくするしかない。
 そのへんやっぱ、中川翔子さんのオリジナル語をあみだして使いまくるってのは、本気ですげぇし、うまいなと思うわけ。
 でもって、そんな自分の口癖がその人に移るようなら、そりゃもう最高だべ。その人も思わず笑っちゃうぜよ。

 とまあ、そんな感じ。
 とりあえずそんだけ気をつけてメールしてれば、恋はむこう側からやってくるぜよ。



 あそうだ。
 あと、これ。
 これ、いっちゃんヤバいとこ。

 その人と、自分は、切り離せ。

 これ、よく聞かないか?
 “ 自分がされて嬉しかったら、してあげたいと思う “ とか ” 自分がされてイヤなことはしない ”

 否。
 超、否。
 それ、否。
 それ、否、まくりにまくってます。

 その人に自分を映したあかんよ?
 それ、絶対大きなミステイクになるから。
 “ イヤなこと ” はまあ、いいとしても、“ 自分がされて嬉しいことは、きっとその人も嬉しいかな ” とか “ 喜んでくれるかな ” なんて、我慢して我慢して最後に “ ? ” つけないで思ってみたところで、それはただの自分の期待でしかないから。

 そこ勘違いすんなぁ~?
 そこをけっこう見失いがちになっちゃうから、なぁ~んかうまくいかないのよ。

 いかに自分を切り離して考えられるか ──── これ。

 性格だとか環境だとか過去だとか、あくまでその人のことだけを頭に思い描いた上で、自分のアクションを起こすこと。
 それが大事。
 自分が好きっていうだけで、その人は自分じゃないんだってことを忘れたらいかん。



 というわけで、このたびはご清聴ありがとう。

 気持ちだけでぶつかってったら匂いたつようなめくるめく恋にめぐり逢えることでしょう。
 ちょっとだけ頭で考えながら恋を進めていくと、めくるめきはしないかもしれんけど、わりと長く恋ができることでしょう。



 以上。




 思わず最後まで読みくさっちゃった人、“ あ、ちょっとヤバいかも ” とか感じちゃったんだな。
 思わず途中で読むのやめちゃった人、図星突かれて疲れちゃったんだな。

 お疲れさん。
 ちょっと伸びれぇ~~~~~~~~!!

ランキング参加中なので、これ乳首。

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