世の中のあらゆること、そのすべては同時進行である。
だから。
いまだに俺様、自分が家に帰ってくると、自分以外の人の生活ってやつが実感できない。想像もできない。その存在自体が宙ぶらりんになってる。
もしかしたら 『 トゥルーマン・ショー 』 ?
そんなことじゃない。
『 トゥルーマン・ショー 』 だって、結局のところ観てる人には観てる人の生活があるわけで、トゥルーマンが繰り広げるステージを観てるっていう生活があるわけだ。
俺様には、それすら理解できない。
きっとだれもが言う “ そういうもんだ ” とか “ あたり前 ” っていうことでなら理解できる。
でも、実感がない。
自分の部屋に入ったら、まわりのご近所さんとか、世界の裏側の窓の明かりが消えたりついたりするっていうことすら、頭にない。自分以外の人間っていうのが、消えてしまう。
一緒に、同じ家の同じ屋根の下で生活してるウメくんでさえ、いるとかいないとか、そういうことも考えなくなってる。
これって不思議だ。
どうでもよくなるっていうのとは、わけ違う。
パピュッと消えちまうだけだ。
これぞ自己中の極地なんだろうか?
世界っつーのは、自分以外でできている。
同時進行がさらに同時進行してるわけだ。
それをすっげぇうまいこと表現してんなぁ~っていうのが、 “ JT ” のCM。
あのCM初めて観たとき、 “ うわっ、あんたらすっげぇじゃん ” って感動したもんだ。
たしかにディライトだ。
フランスの大統領が “ セーフセックス ” を声高に叫んでるとき、アメリカ大統領は “ 家族の大切さ ” を説いていて、そのとき日本の大統領は不倫してて、そのときその不倫相手の娘さんが隣の家に住んでる二つ上の先輩に中出しされてるとき、そのマンションの管理人の倉本大輔さんは風邪をひいておかゆを作ってるわけで、 “ 男女の友情なんてあり得ないよ ” と学生時代はつっぱねられていたその親友の早苗さんが、妹に付き添って病院に入ったとき、そこから出て行った佐藤美穂子さんの旦那さんの容態が急変したして、そこをたまたま通りかかった近藤里香さんの目には、その先の “ 結婚相手 ” と親に紹介していた浮気相手の橋本実さんしか映ってなかったけど、その橋本さんがバイセクシャルとは知らず、その彼はもう一人の遊び相手である栗原哲郎さんにベッドのなかから手を振ってるとき、時を同じくして、その偽装結婚の相手である栗原こずえさんは自宅のキッチンで一人静かに息を引き取った。
そしてそのとき、世界の裏側では、また一つ新たな命が誕生していた。
というテレビ番組を観ていた海老原兄弟は、口をそろえてつぶやいた。
「わけわかんねぇよ、これ」
って書いてる俺様は言う。
「……長ぇ」
そんな同時進行が同時進行しまくってる世界のなかのごくごく一部の俺様の、またさらにごく一部なわけだから、現在ってやつがなまら進行してるわけ。しまくってるわけ。
だからただの進行形じゃなくて、 “ 現在なまら進行形 ” なわけ。
やべぇ、なんか楽しい。
- January 23, 2008 8:43 AM
- [ 現在なまら進行形 ]