SUPER BAD DAY

 いやぁ~、ホント!!
 もぉ~~~~~~~~~~~、マジ!?
 ホントにホントの“Bad day”っつーのに、今日ぶちあたったらしい。
 しかも未曾有。
 本気でツイてないったらありゃしない!!
 こんなにツイてないって感じたのなんて、生まれてこの方、初だぜ。

 スィーゥリアス!! 超バッド!! ゲロゲロ・アンラッキー・モンキーやで。ほんまに。
 お話になりませぬ。

 まず、遅刻した。
 昨日は、いつもどおりだし、むしろちょっと早めにベッドに入りまして、もうちゃんと起きれるようになったしってことで、“目覚まし保険”はやめておいた。
 老若男女問わずの知り合い、ならびに、バイトの人たちに“なまら起こして”というメールを送信しまくること。
 まあ、“昨日”とはいっても、すでに巷での暦で考えれば、すでにこのバッドデイは始まってたわけだな。

──── そろそろ起きたらどうだ?

 そんなメールがきた。
 んなことわかってる。こちとらPM 4:48に一度起きてんだ。
 “あら、すいません”と返信して、いざバイトへ。

 猛吹雪……
 積雪MAX。
「マぁ~ジでぇ~!?」
 とりあえずやり場のない憤りを鈍色の景色にぶつけたあと、ちょっぴり迷った末、ブレーキのまったく利かない冬用マウンテンバイクをチョイス。

 チャリンコが進まねぇ……
 すっげぇ降ってる上に、なかなか寒いし、車は我が物顔でビュンビュン走るもんだから、雪がまったく固まらねぇ。まるで純粋な砂のように、さらっさらさ。小麦粉みたい。
 それでも俺様は、その上を無理やり自転車で走ろうとする。
 進まない。走る。進まない。こぐ。空回る。車道に出る。轢かれそうになる。
 だからしばらく足でこいだ。こっちのほうが速かった。

──── 進まない!

 ひとまず、バイトの人にメール送信。
 送る前に、ちょっと俺様思案した結果だ。

 ……ここでいつもどおりの口調で“進まねぇ!!”というメールを送る。
 それはつまりこういうことだ。
 一度打って“進む”と変換したあと、“む”を消して、“まねぇ!!”を付け加えるということになる。
 そんなこざかしい手間をかけられるんなら、本当にこの人は大変な状況にいるんだろうか? もともと来る気がないんじゃないだろうか? そのための口実なんじゃないだろうか?

 ……うぜぇ。
 先にあとのこと、相手の返信、こう言ってくるだろうことを予測する。そして、そのデータに基づいたメールを送る。
 何回も何回も細かいメールのやりとりを省くため。
 しょうもない。

──── 今日はやめますか?

 シカト。

 48分後、バイトに着いたときには、もう汗びっしょり。
 ひさびさにTシャツ姿を披露してみた。室内といえど、真冬だ。
 でも寒くもなんともない。エアコンの温度上げすぎなんですよ。30度ってアホじゃないです?

「あ、なまら汗かいたからニオうと思うけど、ごめんね」
 襟足あたりの汗を拭きながらメールを送った人に謝った。その声の大きさで、まわりのほかの人たちにも同様。
「もうニオッてるから」
「あら」
 とても冷静な彼女。
 意に介さない俺様。
 それからしばらくして、本格的に汗がニオいだした。自分でも耐えられないぐらいニオいだした。なにかアクションを起こすたびにニオッた。
 でも、服とかマフラー、Tシャツの類いは、まるで柔軟剤の香りのみ。服とTシャツの襟を引っ張って体も確認してみたけど、ただただ真っ白。
 摩訶不思議。

 俺様は今日から机を移動する手はずになっていたので、そちらへ移動。
 話はひとたび昨日へ戻る。
 もう一人の女性から言われた。辞めた人の席、その人の隣が空いてるわけだ。
 会社側も、募集したところで全然人が来ないために、3月だか4月ぐらいまで情報誌に載せるのをやめたらしい。
 だから、完全にそこは空席。その人の荷物置き兼、広げて置くと邪魔になるあとまわしの仕事置き場になっている。

「わたしはここ空いてたらすごい快適だからいいんだけど、もし松田さんこっちに来るなら、あたしは別にいいよ?」

< ……は? >
 俺様、一瞬本気でなんのこと言ってんのかわかんなかった。きょとんとしてたに違いない。
< どした急に。俺様がいつそんなこと言った? おれはここがいいって言ってるだろ? >
 しかも、なんの前触れもなかったわけだ。その前に、なんかそんなようなこと話し合ってたならわかるさ。でも、そんなの一切ない。むしろ、仕事しててなんもしゃべってないし、しゃべる気もないっていう空気だった。

 そしてなんだ? なんなんだ?
 百歩譲って、俺様が孤独に映ったから気を遣ってくれたとしよう。たいへん嬉しいお心遣いだ。
 で、俺様が使ってる机っつーのは、まわりが一本続きのショボい会議室とかでよく見る長テーブルを2人で使ってるのに対して、デッカい一つの机を一人で使ってるわけ。狭い部屋に。
 みんなは相席。俺様はカウンター。
 だから、うしろが狭い。みんなが、けっこう出入りの激しいスペースなので、それを考慮してのことだとしよう。

 しかし、じゃあなんで ──── いやいや、“じゃあ”もクソも、ただ純粋に、なんのためにそんな余計な前置きつけるんだ? おまえさんてやつは?
 それで“こっちに来ていいよ”って伝わると思ってんのか? もし移りたいと思ってたとして、そっちに移りたいって思うと思ったのか?
 おまえ、本気か?
 普段から“いい年こいて”とか“常識的に”とか口走るのに、頭おかしいんじゃねぇのか?
 俺様、言うよりまずは思わず苦笑いが先行してしまった。
「あ、いや、そんな快適なところ、わざわざ邪魔はしませんよ」

 しかしまあ、その後メールを送った人と話し合った結果、やっぱり通る場所が狭いとかコンセントがないとか、ストーブを独占されてるのが気に入らないとかいう理由から、俺様はそこに移動したほうがいいってことになったわけ。
 とりあえず、あまりにクサかったために、香水でもなんでもつけるもんないかと尋ねたところ、だれも持っていやしねぇ。
 俺様はクサいまんまで仕事を続けた。
「アンナさん、なんかつけてる?」
「あたし? 香水とか?」
「そう」
「いや、ううん、なんもつけてないよ」
「なんかアンナさん、いい匂いすんね」
「そう?」
 そこでなにやら意味のわからんジェスチャーがついた。自分の体からにじみ出てる匂いそのもののような、あえてそれをモワモワと仰ぎだすがごとくだった。
「ああ、お香? アロマ? アロマ、アロマ」
「ああ、アンナさん、やってんの?」
 アンナさんがにわかにテンション上がったみたいに落ち着かない気配を感じだったので、どうやらきっと俺様の言葉は届いてないらしかった。

 アンナさんは、もちろん仮名。
 隣になったことで、今までは仕事のことしかしゃべらなかったアンナさんと俺様。たぶん性格的には、まったく合わない。
 その前に、着いて早々俺様が、世界の“VANHOUTEN COCOA”をこぼしたときもだったけど、なにげない会話のなかでもいちいち余計なひと言をつけ加える人なんだな。ひと言多いならそれはいい。でも、いちいち癪に障ることをチョイスしてくる。
 あの人は、全然悪い人じゃないし、まわりへの気遣い、配慮ができる人なんだけど、人間関係とか性格とか、対人関係の築き方については、人のことを言うべきじゃない。
 まま、お互いの雰囲気も相まってか、まったくそんな日常的な会話なんぞする余地もなかったわけで、それがそんなやりとりができるようになったので、まあ良しとしとくか。
 アンナさんは、お香を炊くらしい。

 一応みんなのこと、俺様のことも踏まえて考えて、全員が見るものをみんなの近場に持ってきたら、それがパソコンから落ちて、ちょうどそこにあった世界の“VANHOUTEN COCOA”を思いっきりこぼした。
「うわっ、マジツイてねぇぞ、今日」
「なにやってんの」
 ロザンヌさんがそう椅子を回転させて振り返った。
「なにこれ。マジでツイてねぇ。こんな、ジュースこぼしたのなんて、もう十年ぶりぐらいだぞ」
 手早く机の上のココアをトイレットペーパーで拭いてたら、それまで素知らぬ顔でお仕事中だった隣のアンナさんが、“あら、そんなにこぼしてたの?”と言って立ち上がった。
「あ、モップモップ」
 部屋の隅に立てかけてあるモップを持ってきて、床をきれいに拭いてくれた。そのついでに、部屋の入口あたりの、出入りする人たちが外から連れてくる泥と雪の入り混じったドス黒い水を拭いていた。
 あの人、そういうところはいい人なんだよな。で、きっと、しゃべらなければ、いや、そういう部分で話し方にひと工夫を入れれれば、普通にカワイイし、いい女なんだろうなと思ふ。
 今はもう懐かしい昔の時の人って感じになっちゃったっぽいけど、平松愛理さんに似てる。俺様、嫌いじゃない。ベストアルバムも持ってた。『もう笑うしかない』は名曲だな。
 またもとの場所に戻したものを、やっぱりどうしても近くに置いときたかったから持ってきたわけだけど、アンナさんに一蹴された。
「またそこに置いたらココアこぼすしょ」

 仕事は無事こなした。特にミスもなかった。迷惑をかけたのは、自身ですら耐えがたいほどの汗クサさぐらいだったはず。
 ただ、まわりの人のミスが目立ったようだ。
 伝票を、間違った行き先に送ってしまうことを俺様たちのあいだでは“誤送”と言うわけなんだけど、それが2件。
 ここ最近ではめずらしい数字だ。前の責任者が辞めたあと、そして今やってる確認と修正作業を始めて以来。
 発見したときは、思わずメールを送った人と二人で“おぉ~!! なんかひさしぶりに見たわ”って、まるで嬉しいかのような声を上げてしまった。

 まあいい。
 俺様が今日、俺様のツイてなさを本気で感じたのは、そんなことじゃない。
 実際には、遅刻の寝坊も、やることなすこと全部が裏目に出ちゃうことも、アンナさんのしゃべりっぷりも、なにも今に始まったことじゃない。ジュースをこぼしたのは、ホントに最悪だったけども。
 そう ──── そうなの。
 そうなのだよ!!
 それはバイトから帰ってきてから。
 俺様の唯一の癒し空間、我が家で起こった。
 今思っても、マジでクソったれだ。

 行きよりはマシになったロード・コンディションとはいえ、またもや汗だくで帰宅。
 あのマウンテンバイクは、やけに疲れる。タイヤの空気圧が低いせいか、全然進まない上に、ペダルのまわりも小さいような気がした。折りたたみ自転車故の難点なのか?
 冬には自転車のタイヤの空気が抜ける。でも、夏みたいにパンパンにすると、なんかいきなり破裂されそうで怖い。
 でもとりあえず、まずはシャワーだ。
 出てきて髪を乾かしたわけだけど、なかなかいい感じにセットが決まった。ドライヤーだけで無造作ヘアーにセットする術を身につけた。
 とりあえず寝グセに見えなくもないけど、見た目には悪くない。むしろカチッと決めるよりいい感じ。
 これぞ巧の技“寝ぐセット”の極みだ。

 で、おなかがすいた。あまりにおなかがすいていた。
 だからカレーを作ろうと思った。レトルトな?
 電子レンジでもできるけど、今日は、自然に戻した干し椎茸をふんだんに使いたかった。最近、青汁しか飲んでないのだよ。だからツイてないこんな日ぐらい、ちょっと体にいいものをと。
 少なめの水をセット。カレー投下。椎茸投下。あとは牛乳を飲みながら待つ。

 やがてお湯が沸騰して、カレーも椎茸もいい感じになった。ざるに椎茸をあけて、マーブルフライパンをセット。
 椎茸投下。
 いわしの缶詰を開けて、それも一緒にフライパンに投下。これ、意外に甘さがいい感じに引き立って、いわゆる一つの“コク”ってやつな感じが出る。
 まあ、実際に“コクがあって……”って言うやつのことは信じない。俺様もそれがまったくわからない。

 さて、こっからだ。
 そこで俺様、ただのご飯じゃどうも芸がないってことで、先日買ってきた“ガーリックオイル”っつーのでいったん炒めてみることに決定。
 しかしその“ガーリックオイル”とやらは、容器の底にガーリックチップが沈んでやがるんだな。
 そりゃ振るわな。沈殿されたまんまのオイルかけても、なんか損した気持ちになるじゃん。
 いつもの缶コーヒーを買ったときに振る要領で、その“ガーリックオイル”を振ったさ。
 ああ、振ってやったさ。

 するとどうだい。
 思いっきり、ぶちまけたさ。

 俺様、缶コーヒーを振るときは、片手にその胴体部分を持って、スナップだけで振りまくるわけ。そうだなぁ~、イメージ的に例えて言うなら、バトンの人が片手でバトンをクルクルまわすときみたいな感じ。
 パチッて閉じるフタなわけで、そうそう振ったぐらいで簡単に開いちゃうなんて思わんべ。
 そしたら、コーラのごとく“ビチュー!!”って音ともに、飛び散りやがった。

 これだよ。
 そして、しばしの静寂だよ。
「……マジかよ……」

 でもすぐに油の染みこんだ目ン玉がギリギリと痛みだして、自分のツイてなさに呆れて笑う間もなく、流しにダッシュ。
 それどころじゃなくなったわけ。
 料理に使えばさらに美味しさが増すだろう唐辛子も、このときばかりは本気で恨んだ。
 ジャバジャバ流してる最中、“これ、そういえば油だし、水で洗っても意味ねぇんじゃね?”とか思ってみたけど、それ以外に思いつかなかった。眼球に、いくら油に強いからって“泡のチカラ”使うわけにいかねぇしな。

 鏡で見たら、右目が真っ赤。
 まあしょうがねぇ。それはな。
 でも、よくよく見ると、右顔面の半分が、油まみれになってたっつー話。
 目ぇ洗ったからかと思いきや、ガーリックオイル持ってた右側が、浴びたのかよってなぐらいになってやがった。しかも、“水も滴るいい男”みたいな感じになってたのが、実にファック。プロのスタイリストさんがやったみたいに、“おまえ、またうんまいことワックスつけたなぁ~”みたいな感じだった。固まりすぎず、それでいてしなやかにまとまってた。
 まあ、学んだからよかったのかもしらんな。
 またシャワー。
 うまいことセットできた髪型も、泣く泣く洗った。顔には、不本意ながら“泡のチカラ”を使った。

 そしてシャワーを出たあとは、そこら中にまきちらしたガーリックオイルの拭き掃除。
 左はソファ、そしてテレビの前まで、右は洗面所まで飛んでやがった。テーブルの上では、俺様のメガネのレンズに滴ってやがった。エロゲーのザーメンさながら。それが一番最悪だった。
 なんまらクセェの。
 洗った食器入れるカゴも、その中身も、それ乗せてる台も、全部スポンジで洗った。

 とまあ、今んとこそんな感じだ。
 おかげでただいま、スリッパがすっげぇ滑る。
 最後の追い討ちとしちゃ、このスリッパで階段から転げ落ちるぐらいくるか?

 きっと起きてきたウメくん、“あれ? 自分かな? 餃子なんて食ってねぇけど”とか思いつつ、“はぁ~”ってやってみたことだろう。
 こんなときは、ぬくい太ももに膝枕してもらって、耳かきしてもらいたいもんだ。
 そしてそのまま、そこで寝たひ。

  • January 25, 2008 9:19 AM
  • 松田拓弥
  • [ 料理 ]

ランキング参加中なので、これ乳首。

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