またもやボディソープ買ってくんの忘れた Fuck な俺様である。
そこで俺様、はたと気づいたことがあった。
それは、自分以外の人がお風呂に入ってるということを、まるで想像できないということである。
そんな俺様は、今年で30歳。
いや、あのさ?
そりゃわかるよ? わかるのよ?
ここんとこ最近の社会的な血潮として、男女問わず “ 毎日お風呂に入るのはあたり前 ” なんだろ?
だから、入ってんだろうなぁ~ってのはわかるのよ。
ただね?
──── 俺様以外の人ってのは、どうやってお風呂に入るんだろうか?
それよ。それなのよ。
いやこれマジで。
まあね、俺様ぐらいの世代の男なら、いやいや、そんな甘っちょろいもんじゃねぇな。
なんだかんだで “ 毎日はお風呂に入ってない ” っていう男たちは多いだろうと思ふ。
でも俺様は半分以上が女だから、毎日お風呂に入ってる。厳密には、シャワーである。
なぜお風呂のバスタブに浸らないかというと、それは、否応なくそこに長居してしまうから。
そして、全部2回ずつ洗う。
だいたい2回ずつ洗う。
外から帰ってきて洗う手。足。ちんぽ。頭。
体は、あんまり洗いすぎると、必要な皮脂まで落としてしまうらしいので、否。
そう、特に女。
女体がお風呂に入るときってのが、俺様は想像できないのだよ。シャワーもそうだ。
どんなふうにお風呂に入り、バスタブでひたひたするお湯を手ですくい、どこにかけ、どんなふうに、そして、どんな場面でうっとりするのか。
シャワーは、どんなふうに体にかけるのか。シャワーヘッドは持つのか、それとも、壁に設えられてるフックにかけた状態で、己がそこにからむのか。
お風呂場のエロい椅子には座るのか。座って体を洗うのか、立ったまま洗うのか。
そこに到達しようとする俺様の想像は、湯気のように曇っているのである。
だから本日、実際に女であるバイト先のシャーリーンさんに、そこんとこ訊いてみた。
「毎日、風呂入るのってあたり前?」
「うん」
「お風呂に入るの? 桶?」
「いや、6月からはシャワーにしたけど」
「ふぅ~ん」
俺様、どう切れ込みを入れるのがよいかしばし考える。
「……どやって入るの?」
シャーリーンさんの隣のリンゼイさんに笑われた。
「はあ?」
きっとあまりにも青く変態的なニュアンスに聞こえたのだろう。
否である。実に否。
「いや、普通に蛇口ひねって……」
「あ、じゃあ、どんな感じでシャワー浴びる? シャワーのヘッド持つの?」
「あ、ああ、まあ……」
「ああ、じゃあ、こんな感じでこういう感じでこう、みたいな?」
「ええ、まあ、普通に」
「あの、こうなんつーの?」
「ああ、ドラマみたいな ──── 」
「そうそう、こう壁にかけてアメリカンな感じで浴びたりはしないの?」
「ああ、しないね」
「ふぅ~ん」
しばし沈黙。
「いや、あのさぁ ──── 」
ここで俺様から、この質問の意図を説明。どうしても女体がお風呂に入るという具体的な場面が想像できないということに最近気づいてしまったこと。
シャーリーンさんはすくっと立ち上がった。
「……そんなの、考えたこともないよ」
う~ん……まあ、たしかにそうなのかもしれん。
しかし俺様は気づいてしまったのだよ。そんなにも乏しい俺様の想像力という欠陥に。
たぶんこれは世代の違いで、まわりを取り囲む女性群の反応いかんによるのではないか。
平成あたりから、汗くさい男、いや、とりあえず “ におう男 ” はダメだという意識が芽生えてきてると思うので、そのへん世代の男の子たちは、時代問わずモテたいっていうのが不変の男たる目標であるからして、毎日欠かさずお風呂に入り、それがもうあたり前として浸透してるんじゃないだろうか。
香水をつける男が増え、それはオシャレであり、いい匂いのする男はいい男であるとのヴィジョンが開けた。
香りのセンスがいいやつは、ほかの面でもセンスがいいと思われる。
しかしながら、俺様世代というか、俺様よりちょっと上の世代というか、俺様ぐらいから上の世代というのは、逆である。真逆ではないものの、90 度ぐらいはイッてると感じることが多い。
俺様はきっと、もうちょっと上まわって 194 度ぐらいだろうかな。
“ バブル時代 ” というのを少なからずかじってるせいか、たぶんなにかが間違ってるんじゃないだろうか。
まま、バブルだからこそ香水すら湯水のようにまき散らしていたんだろうが、それとは逆に、汗くささも香水の一つと数えられる。
“ 汗くさい ” のは、“ セクシー ” である。
たぶん多少汗くさい男は、ぶっちゃけた女性陣、実はけっこう嫌いじゃないのではないか?
「今日はちょっと汗くさいね……エヘ」
それぐらいのエンターテイメントになりすらするんじゃないだろうか。
俺様もそうだ。汗くさい女は、いい。
“ ゼクシィ ” にはならない程度の、それなのだな。
専門家なのかマッド・サイエンティストなのか、そういうごく一部の人たちは言う。
汗のにおいは、フェロモンなのです。
そしてそれは、きっと世のなかのたくさんの人たちが、一度は耳にしている言葉なのである。
男たちの救いであり、女にとっては “ えぇ~!? ” って思わず言っちゃうような “ 好き避け ” なのだ。
ちょっとあまりにローカルな造語だと思われるので、もしわからない人のために説明しよう。
こちらの “ 好き避け ” という単語は、シャーリーンさんがその昔、あたり前のように口にした単語である。
読んで字のごとくではあるが、“ 好きだけど、避けてしまう ” という意味らしい。
俺様の拡張的な応用の意味としては、“ 好きになってしまいそうだから、避けておく ” というよりディープリーな感情も含まれた。
あなたにはそんな “ 好き避け ” ────
経験、ありますか?
さて、人間の最大の長所とも言えそうな予測というもの。
そこにはしかしながら、その人間の “ 経験 ” というものが大きく関わってくると思うわけ。
人間のそれというのは、だいたいが “ 経験則 ” というものからくるのである。
つまり、俺様は、“ 女の人がお風呂に入ったりシャワーを浴びるという場面に遭遇したことがない ” ということになるのです。
ここでとびっきり重要なのは、 “ 一人である ” ということ。
そう ──── ひとりで入浴という行為に耽る女体。
一緒にお風呂に入ったりシャワーを浴びるというのでは意味がなく、客観的になり得ない。それはただの主観的な “ 回想 ” になってしまうわけだ。
一人だけでという状況で、当然のように今からお風呂場に行くところからまで含めたバスタイム。
そこに、主観だけではとうてい到達できないなにかがあると思うのだよ……モスキートーくん。
……なんか、ひさびさだね、モスキートーくん。
なにごとも客観的な観察が重要。
それあっての主観であり、主観がよりいっそう楽しくなるのだ。
だからいつか、いつか俺様が同棲や結婚という名の生活を送ることになったあかつきには、前日から一日中どこかに潜んで、愛する人にとっては、自分以外だれもいないと錯覚するような状況を演出し、その一部始終を観察しよう。
嗚呼、まだまだ世のなかには俺様の知らないことが多すぎる。
- July 17, 2008 5:28 AM
- [ 思ったこと ]